レポート
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県議会議員を賛助会員へ! アプローチはこうした!

2025.04.10

宮城県看護連盟の取り組み

看護連盟の活動の中でも、地方議員との関係づくりは、看護の“現場の声”を政治の場に届けるための重要な意味を持ちます。宮城県看護連盟は現在顧問を務める冨田きよ子日本看護連盟副会長をはじめ、以前から県議会議員との関係が深く、その後も積極的な働きかけを行い、多くの県議会議員が宮城県看護連盟の賛助会員になっています。これまでの経緯、そしてこれからの取り組みを宮城県看護連盟・古内みよ子会長が報告します。

宮城県看護連盟の賛助会員は、2024年12月30日現在で、総数65名です。そのうち4割近い25名が宮城県自民党会派の県議会議員の方々です。

全国の看護連盟でも、県議会議員など地方議員の方が賛助会員になられていると思いますが、宮城県はその割合が多いほうではないかと思います。

なお、宮城県の選挙区等の国会議員を含む首長、地方議員で賛助会員になっていただいている方は21名です。この中には、県南部に位置する角田市や北部の登米市・栗原市など看護連盟の会員のいない選挙区で賛助会員になっていただいている議員もいます。「選挙区に会員がいないのに、県議は地元の看護職に応援をしていただいているのだ」と思い、常々感謝を伝えています。

県議会議員はなぜ賛助会員になったのか

2010年に髙階恵美子参議院議員が初当選をした選挙のとき、宮城県看護連盟の会長は、今、日本看護連盟副会長でいらっしゃる冨田きよ子顧問でした。当時、冨田会長は、県議会議長の相澤光哉議員と交流があり、「看護を支援する議員の会」を6名の賛助会員で創設しました。これが宮城県看護連盟と県議会議員の繋がりの始まりでした。そして2021年、外崎浩子県議より「議員の会」を再編する申し入れがあり、規約や議員名簿の改正をして、現在に至っています。

2021年当時、私は幹事長をしており、中村恵美子会長と共に、「看護職の処遇改善」「国家公務員医療職俸給表(Ⅲ)の改正」について自民党会派室に出向いてプレゼンテーションをし、さらに2022年の参議院議員選挙の協力を依頼しました。この年、県議の賛助会員は21名となり、会派全体の3分の2を占めるまでに至りました。また、2023年以降は宮城県内の市町村議員も首長含め13名となりました。

宮城県で県議会議員の方々が、宮城県看護連盟の賛助会員になっていただけたのは、このような歴史的に深い連携の強さと看護連盟から議員の方々への積極的な働きかけがあったからだと考えます。

福井崇正議員(当時)による議会一般質問

県議会議員が賛助会員になることによる効果

県議会議員などの地方議員が看護連盟の賛助会員になることのメリットには、大きく2つあると思います。

①県の医療政策に看護の現場から情報提供ができる

1つは、県の医療政策に看護職の処遇問題や現場のさまざまな課題を“現場の声”として情報提供することができることです。

宮城県看護連盟では、2022年から議会で一般質問を行う県議会議員に、看護職に関係する情報交換を行うことがあります。例えば、看護師不足や看護職の賃金、働く環境の多様性など県内病院の“現場の声”を伝えます。

2022年11月の定例県議会において、自民党の福井崇正議員(当時)が、一般質問で「助産師不足の現状と奨学金制度」について、以下のように質問されました。「少子化の影響なのか助産師になる看護師も減っている状況であると伺いました。先日、宮城県看護連盟の古内会長にお話を伺ったところ、地方に行けば行くほど助産師不足は深刻であり、医師と助産師は東北大学病院から地方病院に派遣している状況とのこと。古内会長に、なぜ助産師にならないのか伺うと、看護師になってからもう1年助産師になるための勉強をし、資格が必要であること、資格をとるためには学校にて多額の授業料を支払う負担に躊躇するというお話でした」

この質問に対して、宮城県保健福祉部長は「人口10万対助産師数は、仙台医療圏以外は全国平均を下回り、地域偏在が課題と認識している。県では仙台市を除く県内の医療施設等で、助産師として一定期間働くことで償還が免除される、看護学生修学資金貸付事業を実施している」と答弁しました。

県議会後、看護連盟から“現場の声”を届けてくれた看護関係者へ、この議事の内容を知らせて情報の共有と周知をはかりました。

このように、議会を傍聴してみると、議員の質問経緯や県の回答を一層理解でき、さらにはそれを県内の看護現場に周知しやすくなると思います。

②県議会議員の活動を知ることで、行政の政策を身近に感じられる

もう1つは、県議会議員と関係性ができて、連盟会員との繋がりが持てること、それによって県議が看護連盟の活動に理解や賛同を得てくれるようになることです。

また、県議の活動を知ることは、連盟会員にとっても大きな意味があります。地元の県議と直接対話することで、その人柄を知り、知り合いになると地元行政の政策をより身近に考えるきっかけになります。

宮城県看護連盟が、年に2回行う会員・賛助会員が参加する研修会には、ときには県議の半分以上の参加があります。一方で、県議主催の集会や県政報告会の参加も、連盟事務局から支部長や会員に依頼しやすくなりました。

実際、県議会選挙では「連盟役員の○○さんが事務所まで為書きを持ってあいさつに来てくれた」「集会に○○支部長と会員が応援に来てくれた」など県議からの声を直接いただくことがあります。こうした積み重ねが、連盟と県議との信頼関係をつくり、会員の投票行動に繋がっていくものと思っています。

2024年に看護職国会議員である石田まさひろ議員やあべ俊子議員が宮城県を訪問した際には、県議連や県連女性局が関係各所にすぐ連絡をとってくれました。このスケジュール確保の手際の良さには、連盟としても本当に感謝しています。

石田参議院議員の県連訪問、左端は村岡貴子県議、中央は中山耕一県議
阿部文科大臣の県連訪問に同行。右端から、 石井幹子宮城県看護協会長、冨田きよ子顧問、阿部大臣、石川光次郎県議(当時)、筆者、外崎浩子県議

2024 年の自民党定時大会に参加。右端から冨田きよ子顧問、中村恵美子顧問

議員を賛助会員に導くアプローチ

県議会議員を賛助会員に導く3つのポイントを整理します。

①平時から連盟との交流機会をつくる

普段から県議との繋がりを意識することはとても重要です。研修会の初めには参加した県議に名前と出身地域を自己紹介してもらうようにマイクを回しています。

また2024年からは、国会議員秘書経験を持つ県議に講師になってもらって「コンプライアンス研修会」を始めました。役員、支部長・幹事長や青年部の会員を対象に講演していただき、国政選挙について私たちの活動にもプラスの効果があると感じています。

県議の県政報告会への参加も、できるだけその選挙区の会員が多いところから派遣してもらうように支部長に依頼します。そして名刺や芳名帳には「宮城県看護連盟」と所属を記載してくることを伝えます。

②自民党県連主催の活動や女性局の集会に役員、支部長を参加させる

「未来」を積極的に創造していく人材の育成を目指して開講される県連主催の「未来塾」に、2024年度は地域医療行政に関心のある青年部の会員を推薦しました。

また、女性局の研修会の一環として「いどばたキャラバン」に参加し、市町村女性議員と名刺交換をして、テーマによっては看護職の経験からフリートークに参加します。

自民党県連副会長でもある冨田きよ子顧問が仙台市内の街頭活動に参加していることも連盟にとっては大きなアピールになっています。

③支部を中心に地元有権者の1人として選挙応援をする

2023年の県議会議員選挙では、会員の選挙区と地元県議名の一覧表を作成して配布しました。選挙期間中には、役員・支部長・支部連絡員やOB会員が候補者事務所へ県看護連盟の為書きを持参して訪問しています。また、集会や街頭活動の参加、事務所内でのボランティアなど組織的に活動します。

2024年の衆議院議員選挙では、県内の5人の候補者事務所に各支部とOB会員のボランティアを派遣しました。そして、そこで知り合った地方議員も賛助会員に誘い、賛助会員になっていただきました。

このような身近なアプローチを今後も続け、一方で地方行政に興味を持つ会員を県連主催の研修や未来塾に推薦し、いつかは自分たち職能の中から地方議員を出していけることをめざしています。

(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2025 早春号No.552

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プロフィール

古内 みよ子 Furuuchi Miyoko

宮城県看護連盟 会長

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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