2024.03.11
山本 真吾さん( 香川県看護連盟 副会長 )
「B-1グランプリ」開催までの経緯
20代30代の若者たちは、政治に関心がなく選挙離れが進んでいます。「なぜ投票に行かないか」を聞いた中で、「行ったことがないので、どうすればよいのかわからないし、不安」との声が聞かれました。そこで、香川県看護連盟青年部は選挙の模擬体験を通して不安を少しでも解消し、投票した後、どのようなことが起こるのかを体感してもらうことを考えました。
看護の業務をする上で、マストアイテムのひとつに「ボールペン」があります。私は学生時代からボールペンが大好きで、さまざまなメーカーのボールペンを試してきており、書き心地、なめらかさ、インクの色・濃さ、ボディのデザイン等を吟味してきました。現在、仕事中に使用するものは、その日の気分によってボールペンを使い分けができるように、いくつかの種類をストックしています。
同僚にボールペンへのこだわりを確認すると、こだわりを持っている看護師は想像している以上に多いことがわかりました。そこで厳選したボールペンの中から投票を行い、「看護師に人気のボールペンを決めよう!」と、Politc Navigator’s Network(以下:ポリナビ)の企画としてボールペン一番決定戦、略して「B-1グランプリ」を企画しました。
リアルにこだわった模擬選挙
私たちは、模擬体験をするからには、よりリアルにこだわりました。ポリナビ会場を管轄する市の選挙管理委員会から実際に選挙で使用している記載台と投票箱を借りて設置します。
レイアウトもより投票場に近い配置とし、選挙に行くときに投票に困らないよう不安を払拭できればと考えました。
B-1グランプリの候補ポールペンには、市場で人気の主要製品を4種類選び、どれも黒単色0.5ミリ油性ボールペンを用意しました。まず、4種類のボールペンの特徴を説明し、あらかじめボールペンを用意したテーブルにグループごとに集まってもらい、4種類のボールペンを試し書きしてもらいます。その後、投票用紙を受け取り、記載台で候補を記入して投票箱へ投函します。
B-1グランプリの説明
ボールペンの特徴を説明
投票する行為を体験するメリット
参加者のアンケートからは 「選挙の方法がわかった」 「選挙の仕組みが面白く理解できた」 「楽しい企画だった」 「普段使用しているものなので親近感のある企画だった」 「いろいろな種類のボールペンが試し書きできてよかった」 「ボールペンを通して投票の仕方がわかった」などの感想が聞かれました。
その後、一番得票数の多かったボールペンを青年部の企画で終わらさず、香川県看護連盟会長はじめ役員に趣旨を説明し、「香川県看護連盟」と名入れし、実際に会員に配布する協力を得ました。そして、香川県看護連盟機関紙でボールペン作成に至った経緯も紹介しました。
自分たちの投票した結果が反映され、形となって手元に届くことは、投票に対して当事者意識を持ってもらうよい機会になったと思います。ボールペンの投票を通して、選挙という模擬体験ができたことは、政治に関心を持ってもらうきっかけになったのではないでしょうか。まずは看護師の身近な関心事に目を向けることが投票行動を促す第一歩と考えます。
「香川県看護連盟」と名入れしたボールペン
本物の投票箱を使った模擬選挙
看護連盟の知名度を高め、人材を育成できる青年部の活動
香川県のポリナビでは、できる限り基礎研修を同時に組み込んでいます。若手看護師に共感を得やすい世代がリーダーとなり、看護連盟への理解、親しみやすいアプローチを通じて若者の政治参加、投票行動につなげることが、日本看護連盟青年部の活動目的のひとつ「看護連盟の認知度を向上し、組織を維持・強化する」への活動となります。
2023年9月のポリナビではカフェ好きの青年部委員3人による「ナースたちのカフェ選手権」を開催しました。県内のカフェの協力を得て、自分たちがおすすめするカフェのメニューを一人一品プレゼンテーションをし、参加者はプレゼンテーションを聞いた上で今いちばん食べたいものに投票してもらいました。この企画では、若手青年部委員を中心にカフェの選定、アポイントメント取り、企画構成を考え実行することができました。
ナースたちのカフェ選手権
お気に入りのメニューに投票
このように、青年部活動は、人間力の向上に必要な知識や能力を高められる機会を積極的に設け、看護連盟の将来を担う人材育成に必要な知識やプレゼンテーション能力、交渉力、リーダーシップ力を養う場となっていると考えています。このことが、日本看護連盟青年部の活動のもう一つの目的「将来の看護連盟を担う人材を育成する」ことへつながります。
今後もポリナビでは基礎研修を行い、「ナースたちの〇〇選手権」を企画のフォーマットとして、その投票結果が形として見えるような企画を考え、 運営していきます。
青年部活動を通して会員増につながるポリナビ運営を行い、青年部委員が楽しく学ぶ活動ができるよう人材育成にも努めていきます。
(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2023NOV-2024 FEB)
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