レポート
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未来の看護界を担う看護学生に届け!

2023.09.20

川村 健太さん( 和歌山県看護連盟 会長 )
古田 雄也さん( 和歌山県看護連盟 青年部長 )
浅尾 貴哉さん( 和歌山県看護連盟 青年部 )

和歌山県看護連盟青年部は、SNSの1つであるInstagram(インスタ)を活用し、看護学生に向けた情報発信を積極的に行っています。インスタは写真や動画を共有し、相互のコミュニケーションをはかることを目的としたSNSです。18歳で成人となり、選挙権を獲得した看護学生へのサポートとしてインスタの活用を提案されたことがきっかけでした。

インスタ活用の背景

背景には、20~40歳代の会員数の少なさに対する危機感があります。 しかし、青年部が実施した学生へのヒアリングやアンケートによると「もっと政治の勉強をしたいのに情報がない」という、会員数の少なさとは反比例した声があり、「学生は興味がないのではなく情報を欲している」と捉え、学生の多くが利用するインスタを活用し連盟の周知をはかることとなりました。
我々が発信することで連盟は看護師や看護学生の味方だと知ってほしい」と会長の川村さんは話します。

インスタプロジェクトの開始

こうして連盟のことを全く知らない層を掘り起こそうと始まったインスタプロジェクト。単に投稿に注目が集まることを目指すのではなく、10年後・20年後に今の若い世代が管理職になる頃の看護界を見据え、必要になった時に連盟に頼ってもらえるような関係性を今から築きたいという長期的な狙いがあります。

インスタ運用開始に向けて青年部長の古田雄也さんが中心となり、2022年7月から県内10支部の青年部内で検討を重ね、2023年1月にスタートしました。運営メンバーの多くは常にSNSに触れている世代ではあるものの「アカウントを運営する立場となると、みんな試行錯誤の連続だった」と話す古田さん。「コロナ禍の中、忙しい勤務の合間をぬって企画・制作を進めることに苦労した」と当時を振り返りました。

県内で看護師として働くかたわら、インスタで病態やアセスメント等を発信し、多くのフォロワーを持つ浅尾貴哉(たか看護)さんもアドバイザーとしてメンバーに加わり、投稿内容やタイミング、動画作成の必要性など、効果的な投稿のためのサポートを受けました。さらに、投稿の継続性も重視し、誰か1人に負担がかかるのではなく、各支部長や副会長なども含めたくさんの人たちを巻き込んでいくことで、継続可能な体制づくりに奔走しました。

左から古田 雄也青年部長と浅尾 貴哉さん

連盟を知るきっかけとして機能

投稿内容は2カ月に1回の会議で話し合い、学生向けに実習記録の書き方や国家試験対策、病態生理や薬剤情報など、より学習に役立つものを週3回のペースで発信しています。これまでの投稿数は54本(2023年5月17日現在)。その中で最もPV数(閲覧数)が多かったものは「頼りになる実習ノートの作り方」です。実習や国家試験に関連する投稿は学生からの反応が多く得られているといいます。

和歌山県看護連盟青年部Instagramのフォローをお願いします

また、コロナ禍で実習に行けなかったことから看護技術に不安を感じる学生が多いという青年部の調査を受け、県内の病院や看護師の協力のもと移乗シーンの動画を作成・投稿したところ、再生回数は過去最高の8000回を超えました。この経験で「学生のニーズに合わせた投稿づくりが非常に有効的」と実感したメンバー。スライド等を入れた画像の投稿より動画投稿のほうが圧倒的に反応がいいことから、今後はドクターヘリに乗る看護師の密着動画やDMAT(災害派遣医療チーム)の看護師のインタビュー動画などキャリアに関する動画も増やしていきたいと古田さんは意気込みを語りました。

和歌山県看護連盟青年部

和歌山県看護連盟ホームページに投稿できるリンクを載せていますが、運営開始後のホームページ閲覧数は開始前と比較して数百パーセント増加。連盟を知るきっかけづくりとしてインスタが機能していることがみてとれます。継続することでファンが増えていくのか、分析は続きます。

一方で課題も見つかりました。目標1000フォロワーのところ、現在は100フォロワー程度とまだ及ばず、今後の周知拡大が必要です。しかし、長期的な視野で運営していることから、「目先の数字に焦ることなく、コツコツと学生に有益な情報を投稿し続け、連盟の価値を多くの学生に知ってもらうことを大切にしていく」と川村さん。 「今後はインスタをきっかけにして全国の連盟青年部の底上げを図りたい。私たちの取り組みが都道府県連盟青年部にも広がって盛り上げていければ」と期待を寄せました。

(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2023 AUG-2023 OCT)

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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