2022.01.30
リチャード・H・スミス 訳 澤田 匡人
勁草書房 2970円
とある人の失敗(不祥事)に対し、「ざまあみろ」と心の中でつぶやくだけではなく、現代ではインターネットの匿名性も相まって、自身の正義感を盾に相手を口撃することで優越の恍惚を味わう。すなわち人の不幸を楽しむ。さらに攻撃の相手が妬んでいる人や社会の成功者であればあるほど、その力は増していく。
そのような心理的特性をシャーデン・フロイデといいます。
この言葉はドイツ語で「自分が手を下すことなく他者が不幸、悲しみ、苦しみ、失敗に見舞われたと見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情」という意味だそうです。
アメリカのアニメ「ザ・シンプソンズ」で約30年前にこの言葉自体登場しているということですから、決して最近明らかにされたお話ではなく、日本でも、隣の貧乏鴨の味と言うように、多かれ少なかれ、誰もが持っている感情なのかもしれません。
ネット上に溢れる、目にしてしまうとうんざりした気分にさせるやり取りに対して、ちょっと一歩引いた俯瞰的な「視点」を与えてくれる1冊かなと思います。
(紹介:シムノート)
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