立ちどまらない少女たち ＜少女マンガ＞的想像力のゆくえ

明治の後期に、女学校が設立されました。進学した女子は、結婚や就職という大人になることを先送りされた存在でした。「少女」の誕生です。『若草物語』『あしながおじさん』『赤毛のアン』などに代表される欧米の児童文学・家庭小説、あるいは西洋の映画に描かれたファッション・生活様式や主人公の生き方は、少女たちの「あこがれ」でした。咲きほころぶ花園に佇む一見可憐だけれど芯の通った、洋装の女の子。そんな乙女チック「少女」のイメージも形成されていきます。

このような「少女」のイメージは、第二次大戦後、少女マンガに受け継がれていきます。少女マンガの嚆矢と言われる手塚治虫の『リボンの騎士』は、どこにもないけれど西洋的な国のサファイア姫の物語でした。少女マンガには、アメリカやヨーロッパを舞台にしたものが数多くあります。『キャンディ・キャンディ』『ベルサイユのばら』『ポーの一族』『BANANA FISH』などなど。

西洋文学から影響を受けた少女マンガは進化を続け、70年代から80年代に一つのピークを迎え、文学にも影響を与えるようになります（たとえば、吉本ばななの作品など）。先へ先へと、少女たちの歩みは止まりません。

本書は、「少女」の誕生から、少女マンガが生まれ変遷していく過程を考察し、少女マンガを受容する少女たちにどのような影響を与えたかを、とっても乙女チックに、楽しく語っています。さて、あなたがご存知のマンガは登場するでしょうか。

（紹介：失われた水分を求めて）

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