2021.10.31
上野千鶴子+鈴木涼美
幻冬舎 定価 1,760円
日本のフェミニズム研究の第一人者と気鋭の文筆家による、往復書簡集。開始早々、上野から鈴木へ檄が飛ばされる。『「AV女優」の社会学』でデビューした鈴木は「気になる存在」だった。しかしあなたは肝心なことから逃げている、いつまでそうしているのかと。第一人者の舌鋒鋭さに、ひやりとする。もっと自分をさらけ出し、自分が書くべきことに正面からぶち当たるべきだと、上野は言葉をかえて繰
り返す。
エロス資本、承認欲求、仕事、連帯、男といったテーマに応じて、考えを手紙で交わし合うなかで、上野と鈴木両者ともが、自分という人間を丸ごと投げ出しながら、全身全霊で言葉の応酬を繰り広げる。女として、学者として、娘として、職業従事者として、そして、その全部を取っ払って、人間としてぶつかり合う。
人が人を導く過程、人が内省し古い考えから脱皮しようとする過程、人と人が対話し互いが変化していく過程を目の当たりにする。ふたりが抱える痛み、自分を投げ出す勇気、燃える知性に、ヒリヒリして、くらくらして、どきどきする。
(紹介:Floating Stories)
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