2023.02.06
1月29日、オンライン形式で看護協会主催「日本のお産をまもれ 第2弾 院内助産・助産師外来推進フォーラム」が開催され、2000名以上が視聴しました。
妊産褥婦を取り巻く環境の変化と院内助産・助産師外来の推進
わが国では分娩取り扱い施設の集約化により、住み慣れた地域での出産が難しく、妊娠期や育児期に身近な場所で継続した支援を受けることが難しい地域があります。また、少子化や核家族化、地域のつながりの希薄化、出産年齢の上昇など、妊産褥婦を取り巻く環境の変化に伴って産後うつやメンタルヘルス不調を訴える人も増えています。これらを背景にして国は、2008年以降、妊産褥婦の多様なニーズへの対応と産科医師の業務負担軽減を目的に、助産師と医師がそれぞれの専門性を生かしながら役割分担し、連携・協働する院内助産・助産師外来の推進を図ってきました。
日本看護協会が取り組む「日本のお産を守れ!プロジェクト」
こうした国の動きを受け、日本看護協会では2011年から2013年に3か年計画で助産師による安全で安心な出産環境提供体制の推進に取り組むとともに「日本のお産を守れ! プロジェクト」とのメッセージを掲げ、院内助産・助産師外来推進の土台となる助産実践能力の強化事業を展開してきました。
日本看護協会・福井トシ子会長 主催挨拶
厚生労働省・榎本健太郎医政局長 主催挨拶
2015年には、助産実践能力が一定水準に達していることを客観的に評価する「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー);Clinical Ladder of Competencies for Midwifery Practice、CLoCMiP」を用いた「アドバンス助産師」審査・認証制度を助産関連5団体によって創設。2020年度時点で9000名以上のアドバンス助産師が誕生しています。
また、2018年には「院内助産・助産師外来ガイドライン2018」を作成・公表し、院内助産・助産師外来のさらなる普及を目指しています。
今回のフォーラムでは、これらの取り組みをいっそう推進するため、さまざまな立場から意見交換が行われました。
基調講演・報告・パネルディスカッション
日本産婦人科医会・石渡勇会長 来賓挨拶
日本産科婦人科学会・木村正理事長 来賓挨拶
日本助産師会・島田真理恵会長 来賓挨拶
日本助産学会・片岡弥恵子理事長 来賓挨拶
基調講演①では、信州大学医学部・塩沢丹里教授が「院内助産・助産師外来推進によってもたらされる周産期医療の成果」と題し、リーダー養成研修など、長野県における院内助産推進のプロセスとその成果について紹介しました。
信州大学医学部・塩沢丹里教授 基調講演
信州大学医学部・塩沢丹里教授 基調講演
基調講演②では、日本看護協会・井本寛子常任理事が「院内助産・助産師外来の推進における現状と課題」のなかで、定義上、院内助産に該当する実践が行われているにもかかわらず、それが院内助産であると認識されていないなどの実態を報告しました。
日本看護協会・井本寛子常任理事 基調講演
日本看護協会・井本寛子常任理事 基調講演PRポスター
続いての報告では、日本助産学会理事長でもある聖路加国際大学の片岡教授が、院内助産・助産師外来を設置している施設のヒアリング調査の結果を報告し、院内助産・助産師外来を推進するうえで産婦人科医との理解・協働、病院の理解として特に看護部の理解と支援が不可欠であること、自治体との良好な関係性の構築が必要であることを述べました。
聖路加国際大学・片岡弥恵子教授
日本看護協会・井本寛子常任理事 基調講演②PRポスター
パネルディスカッションでは座長を日本医科大学多摩永山病院・中井章人院長、片岡教授が務め、日本赤十字社医療センター・木戸道子第一産婦人科部長、総合母子保健センター愛育病院・石川紀子看護部長、さぬき市民病院・赤松美智代看護部長、福島県看護協会・今野静会長が、医師との協働、看護管理者の役割、地域の声の活かし方、職能団体や県行政等との協働をテーマに議論を深めました。
最後に、日本看護協会・秋山智弥副会長が「日本のどこでも安心して生み育てることのできる体制整備が喫緊の課題。院内助産・助産師外来に求められる役割は大きい」と締めくくりました。
*フォーラム特設URLから 「院内助産ポスター」「助産師外来」のポスター をダウンロードできます。
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