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推し、燃ゆ

2021.02.02

宇佐見りん
河出書房新社 定価1400円+税

前作「かか」(文藝賞、三島由紀夫賞受賞)では、うーちゃんの独特な言葉遣いと表現力に圧倒された。「かか」の冒頭、お風呂の金魚。 つげ義春の「紅い花」が頭をよぎった。
「推し、燃ゆ」のあかりは、普通の女子高生の言葉遣いだけれど、推し=まざま座というグループの真幸に生活のほとんどすべてをかけ、 CDやDVD、コンサート、グッズはいうに及ばず、彼の克明なデータをファイルし、SNSも発信している。いわゆるオタク。果てには、高校を退学し、家族もお荷物扱い。
そして、唐突に迎える終焉。フィナーレに向かって全力を使って燃え上がり、終わった後の虚無感。読んでいるうちに、 あかりの気持ちが乗り移ってきて、だんだん息苦しくなってきた。その描写力に、思わずため息が出た。 すごい。あ、芥川賞、おめでとうございます!

(キクチサヨコ)

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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