2020.11.18
明石 伸子 (日本マナー・プロトコール協会 理事・事務局長)
Q 披露宴のテーブルマナーのポイントについて教えてください。
A : 洋食、和食を問わず、食事のいただき方にその人の品性が表れます。その場に応じた、美しいいただき方のポイントについて確認しておきましょう。
Point1: 洋食ではナイフ&フォークの〝音〟に注意!
ナイフやフォーク、スプーンを総称して「カトラリー」と言います。カトラリーの使い方のポイントは音をたてないこと。特に、皿に当たると、 カチーンと耳触りな音がして周囲の雰囲気を損ねるだけでなく、使い慣れていない印象を与えます。
肉や魚を切るときは、左手のフォークでしっかりと押さえ、ナイフを持つ右手にあまり力を入れすぎないようにしましょう。また、食事中はナイフや フォークを皿の上に〝ハの字〟に置きますが、その時はナイフを置いてからフォークを置くなど、両手の動作を同時にしないようにすると、余計な音を 立てることもなくエレガントに見えます。食事が終わって、ナイフ&フィークを揃えて置くときも同様です。
また、先にすべてナイフで切ってしまい、フォークを右手に持ち替えて食べている人を見かけることがありますが、少し幼稚に見えます。 料理は、原則としてナイフとフォークを両手で扱いながらいただきましょう。
Point2: 和食のポイントは〝箸使い〟です
毎日使っているのに、案外知らないのが箸の扱い方です。
箸使いのポイントは図のように〝三手(みて)で持つ〟こと。両手を使った丁寧な所作が、品性を感じさせます。
また、ご飯や汁をいただく時は、図のように椀を取ってから箸を取り上げます。飯椀や汁椀は片手で扱わずに、両手で取ってから左手にあずけ、右手で箸を持ちます。 椀と箸を置く時はその反対にします。箸の使い方は、一度覚えてしまえばすぐにできます。今日から実践してみましょう。
また「忌箸(いみばし)」と呼ばれる無作法な箸使いについても、確認しておきましょう。女性がよくするのは、左手を皿のようにして受ける 「手皿(てざら)」です。一見、上品そうですが、実は無作法で、料理から汁が垂れそうな場合は、左手に小皿や懐紙、紙ナプキンなどを持っていただくのが正解です。 また、小皿の上に箸をかける「渡し箸」も不作法です。箸は箸置きに置きましょう。
Point3: 和やかに食事を楽しみましょう
お食事は、周囲の人と談笑しながら楽しくいただくのがマナーです。着席の前に同じテーブルの人には「同席の○○○○と申します。宜しくお願いいたします」と挨拶をしましょう。 運ばれた料理に手をつけてよいのは、同じテーブルの人に料理が行き渡ってからです。また、食べる速さは、周囲に合わせるように配慮しましょう。
同じテーブルの人がスピーチをしている時は食事の手を止めますが、その他はいただきながら聞きます。ただし、声高に話したり、大笑いするのは厳禁です。
結婚披露宴は、両家の親族をはじめ、会社の上司や友人など、両家にとって大切な人々が招かれています。その場に相応しい服装で参列するのはもちろん、 会場内ではご両親に挨拶をしたり、その他の参列者と歓談するなど、友人の人生の門出を心から祝福する気持ちが、周囲にきちんと伝わるような振る舞いをしましょう。
著者プロフィール
NPO法人日本マナー・プロトコール協会 理事長
青山学院大学卒業後、日本航空客室乗務員、会社役員秘書などを経て1996年CS(顧客満足度向上)コンサルタントとして独立。
2003年NPO法人日本マナー・プロトコール協会を設立し、文部科学省後援「マナー・プロトコール検定」の実施を通じてマナーやプロトコールの普及に力を注ぎ、講演、研修などで活躍。
その他、ゆうちょ銀行社外取締役、吉野家ホールディングス社外取締役、NHK経営委員、学習院女子大学非常勤講師など。(2020年4月現在)
「NPO法人日本マナー・プロトコール協会」
マナーを学びたい方に
協会が実施する通信教育講座「マナー・プロトール検定2級完全合格講座」は、ビジネスマナー、テーブルマナー、冠婚葬祭、季節の贈答、日本のしきたりなど、
日本人として社会人として必須のマナーやプロトコール(※)に関する知識が学べ、さらにこの講座を一定基準以上で修了した方には、文部科学省後援「マナー・プロトコール検定」の
2級が在宅で受験できます。
※プロトコールとは、本来は国家元首間の会談などの公的な国際儀礼のことを指します
「マナー・プロトコール検定完全合格講座」
2021.05.05
2024.08.09
2022.04.18
2022.04.25
2024.07.12