2026.05.04
2025年度第2回「青年部ブロックミーティング」遠藤圭介・日本看護連盟幹事 講演載録
現在、都道府県看護連盟の青年部を「支部化」する動きが進んでいます。2026年 2月現在、47都道府県のうち 14の青年部が支部になっており、4月からの新年度に向けて、その数はさらに増え、20を超える勢いになっています。しかし、その一方で「青年部の支部化って何?」「支部化して何が変わるの?」という声も少なからずあり、青年部支部化の目的の明確化、そして周知の必要性が高まっています。
そのような中、2026年2月21日に「2025年度日本看護連盟 第2回青年部ブロックミーティング」がオンラインで開催されました。テーマは「青年部支部化、そしてその先へ~青年部のエンパワメントを共創する~」で、支部化に特化した内容で行われました。この冒頭の日本看護連盟青年部担当幹事・遠藤圭介氏による講演が「青年部支部化って何?」の回答として非常に評価が高かったので、時間の関係で講演では詳しく触れられることのできなかった資料の情報も追加して、ここに載録します。
皆さん、こんにちは。日本看護連盟青年部担当幹事の遠藤でございます。本日は、青年部約150名、都道府県看護 連盟役員約50名と総勢約200名の方にご参加いただいております。本日のために勤務調整していただき、多数のご参加、本当にありがとうございます。
本日初めて「青年部ブロックミーティング」に参加された方も数多くいらっしゃると思います。「ブロックミーティングってどんな会なのだろう?」と緊張されている方も多くいらっしゃると思いますが、全国の青年部と交流できるこの場を楽しんでいただきながら、明日からの連盟活動や看護現場につながるよう、皆さんで有意義な会議ができたらと思っております。それでは講演を始めます。
青年部の「支部化」に向けての思い
現在、既に青年部を支部化している都道府県は全国で14あります。そして「支部化に向けて動いているよ」というところも多数あると聞いています。
そのような状況ですが、一方で「そもそも支部化って何? なんでするの? 支部化の目的って? 青年部活動の何が変わるの?」という声も多数聞こえてきています。そこで、本日はあらためて、青年部支部化に至った経緯や背景、その目的や基本的な位置付け、さらには期待される役割についてお話しします。
まず「支部化は決してゴールではなくて、あくまで手段、ツールである」と、私は考えています。そして、その先を見据えて皆さんと一緒に活動していけたらいいなと思っています。今回の副題である「青年部のエンパワメントを共創する」ですが、エンパワメントとは「権限や役割を付与して、主体性のある力を引き出していくこと」です。私は全国の青年部の皆さんにお会いする機会も増えて、本当に優秀な方が多いと思っています。そして、青年部の力、1人ひとりの力をより引き出せたならば、日本看護連盟はますます政策実現のできる力強い組織になっていくという思いを持っていますし、ひいてはそれが看護界の発展にもつながると思っています。
今日のブロックミーティングの場が、皆さん1人ひとりのエンパワメント、主体性のある力を引き出して、共に創る、共創していく、そんな場になれば嬉しいです。
なぜ今、青年部の「支部化」なのか
それでは、なぜ今、青年部の「支部化」なのでしょう。実は、今ではなく、先ほど髙原静子会長(日本看護連盟会長)もおっしゃっていたように2023年頃から支部化についての動きはありました。でも、なぜ今なのか、ここに至った経緯や背景をご説明します。
2015年以降、日本看護連盟会員の減少が加速しています。それも最近は年間1万人規模で減少しています。
その中でも年代別に見たときに、特に20歳代から30歳代の青年層会員の減少が顕著です。図1は、20歳代・30歳代の会員数の5年推移のデータで、濃い青色 が20歳代、薄い青色が30歳代を表しています。横軸は年度、縦軸が会員数です。
ご覧いただけたらすぐおわかりいただけると思います。右肩下がりに年々推移しており、20歳代に関しては、ここ5年で1万3639人、約25.1%の減、30歳代に関しては、1万4034人、約34.5%の減で、合わせると年間5000人規模で、青年層の会員が減っている状況になっています。
青年層の会員が減少しているというのは、日本が抱えている人口減少社会の構造と全く同じです。会員がますます減っていくと、組織力の低下を招くので、将来の看護連盟の存続にも大きく影響することになります。
「このままだと、看護現場の声を国へ届けられなくなってしまう」
「看護職の代表議員を送り出せなくなってしまう」
そうならないためにも、未来を担う20歳代・30歳代の青年層の会員確保と育成は、組織基盤を強化していく上で重 要な課題であると考えています。
そして、これが「青年部支部化」に至った背景となります。これらを踏まえて、なぜ今、青年部の「支部化」が必要なのか、その目的を整理すると
「青年部支部化によって、青年層会員が連盟活動に、より主体的に参画できる基盤を確立して、20歳代から30歳代の青年層の会員確保と未来の看護界、未来の看護連盟を担う人材を育成していくこと」 にまとめられると思います。

青年部の「支部化」で何が変わるのか
ではここからは、青年部の「支部化」で何が変わるのか、というお話をします。まず、「青年部支部化の基本方針:位置付け」について説明させてください。
●青年部「支部化」:正式な位置付け
図2をご覧ください。「正式な位置付け」ということで、これまでは都道府県看護連盟における青年部は「委員会」だったと思います。これを「支部」として位置付けます。つまり、都道府県看護連盟内における立ち位置が変わる、立ち位置が上がるということを意味しています。
病棟の話に置き換えればご理解いただけると思います。これまでスタッフレベルだったのが、副看護師長・主任レベルに昇任するというイメージです。
そして、青年部が委員会から支部になることは、組織体制や規約において明確化されます。もちろん立ち位置が上がるので、青年部の役割も責任も拡大します。
組織内外においての影響力は、これまでと変わってくると思っています。一スタッフが発言するのと、副看護師長や主任が発言するのとでは、影響力が全然違うのではないでしょうか。
また図2の右側の「組織基盤の強化」についてです。青年部支部化は看護連盟を持続可能な組織にするための未来への土台づくりです。支部化することによって、ほかの地域支部や関係各所と、より連携を密にして青年層の会員確保と育成を前に進めていくための体制を整えることができると考えています。

●青年部「支部化」:意思決定への参画
次に「青年部支部化の基本方針・意思決定への参画」です。図3をご覧ください。左側の「県幹事としての参画」ですが、青年部代表者が県の幹事として役員会へ参画するこということです。
これは、ただ単に「発言権がある」ということだけではなく、「議決権を持つ」ということになります。つまり、青年部代表者が都道府県看護連盟の組織運営の方針決定に関与することになるのです。
この変化は対外的にも影響があると、私は思っています。例えば、現場にいる青年層の看護職から見ると、「私たちと同世代の看護職が都道府県看護連盟の県の幹事として、方針決定に関与しているんだ。現場の声を届けてくれているんだ」ということで、青年層の関心をより集めることにもつながるかと思います。
また、支部化することで青年部が役員会に参加できるようになるので、役員会での議論や決定事項を青年部へ迅速にフィードバックができるようになります。日本看護連盟の動きや都道府県看護連盟の動きも、より詳細に、よりタイムリーに青年層がわかるようになります。組織の大きな動きが青年部もわかるようになることで、青年部の活動の方向性がより明確化されると思います。
一方、図3右側の「多様な視点の反映」ですが、青年部には、大学病院で働く私自身も含めて、看護現場の最前線で働いている看護師が多いと考えられるので、より熱を込めて「現場の声」を届けることができるということです。それは組織の力になります。組織をより発展させるために、青年層ならではの従来の慣習にとらわれない新しい風を組織運営に吹き込むことができると考えています。
現場感覚を持つ青年層の視点が、連盟活動や政策提言により反映されるようになり、これらの経験を通して、次世代の看護界および看護連盟のリーダーとなる青年部を育成するとともに、組織全体を活性化させていきたいと考えています。

青年部支部に期待する4つの役割
次に図4の「青年部支部に期待する4つの役割」について説明します。

①組織運営への参画と政策提言
「期待する役割その1」は「組織運営への参画と政策提言」です。先ほどの説明と少し重複しますが、青年部代表者は看護連盟役員会に県幹事として出席し、青年層の視点から積極的に意見を述べる役割があります。
また、役員会での議論や決定事項を青年部支部内で共有して、都道府県看護連盟と青年部の連携強化に務めることが望まれます。
②組織拡大と青年層会員確保
「期待する役割その2」は「組織拡大と青年層会員確保」です。会員確保という観点ではやはり「同世代の視点」が大切なのかなと考えます。20歳代・30歳代の青年層の看護職のニーズを把握して、同世代の視点で効果的な会員加入促進活動を企画・運営していくことも青年部支部に期待する役割です。
現在も、もちろん多くのところで実践されていると思いますが、新人研修や基礎研修、ポリナビワークショップ、学生の研修などの場で青年部が講師となり、「なぜ看護職が政治参加する必要があるのか」「政治に関心を持つ必要があるのか」「政治が看護の現場と直結していること」などをわかりやすく伝えていただきたいのです。このようにして、今後、青年層の仲間を増やして、組織拡大につながればと思っています。
③次世代型広報・組織戦略の推進
「期待する役割その3」は「次世代型広報・組織戦略の推進」です。青年部が支部化されたら、SNS等のデジタルツールを活用して、青年層に響く広報戦略を企画・実行していただく役割です。次世代型広報としては、ますますSNSの活動を深化させていく必要があると考えています。
今回の衆議院議員総選挙における高市早苗内閣のネット戦略がまさしくそうだったと思いましたが、Instagram、X、YouTube、TikTokなどの活用が効果的で、各都道府県で現在も実践されているSNS戦略、ショート動画・リール動画の投稿拡散などに取り組んでいただけたらと思っています。
また、組織戦略の推進としては、社会や看護の課題に対応した革新的な組織活動や研修会等の企画・立案に期待したいと思います。例えば、研修会のテーマについては、「看護DX」や「効果的なプレゼン方法」など参加された方が明日から活かせるようなもの、また「睡眠の質の測定」や「eスポーツ」、あるいは「マネーセミナー」といった青年層のニー ズを拾い上げて行う企画もいいのではないでしょうか。
「革新的な」という面では、デジタルツールの活用があげられます。愛媛県看護連盟青年部では、イベントや会議、授業などで参加者との双方向コミュニケーションを可能にするWebサービスである「slido」を使って、議員を呼んで、会場参加型のQ&A研修を開催したところ、かなり盛り上がりました。
④組織内連携と次世代人材の育成
最後の「期待する役割その4」は「組織内連携と次世代人材の育成」です。青年部支部内だけではなく、支部外、各支部間での定期的な情報共有と意見交換を促進して組織内連携を強化していく役割です。
例えば、役員会等に出席できると、他支部の支部長と“顔の見える関係”を構築できますから、支部間でのコミュニケーションや連携がより取りやすくなるかと思います。青年部は看護現場、特に病棟にいるケースが多いと思うので、ご自身が所属している病院の支部長や施設連絡員・病棟連 絡員と協働して、会員確保に向けた効果的な戦略を練る企画運営もできるのではと考えています。
連盟組織との関与を通じて、青年部が役員としての自覚と資質を養っていただき、次世代の看護界および看護連盟を担う存在・人材になっていただきたいと思います。
支部化のメリット・デメリット・好事例・課題
ここで「情報提供」があります。こちら(講演スライドの一部)は2025年10月14日に開催された日本看護連盟第6回中央役員会で報告した資料で、既に青年部支部化をしている都道府県の青年部支部長に、「支部化によるメリット・デメリット・好事例・課題」をヒアリングさせていただいたものになります。
本日は時間の都合上、細かくこの内容をお話しすることができませんが、「青年部支部化に向けて、これからどのように活動していこうか」と悩んでいる方には参考になる内容かと思います。(編集注:当日、スライドで示された遠藤幹事提供の資料を表1として掲載しました)

みんなで「看護の未来」をつくっていきたい
青年部「支部化」の目的は「青年層の会員が、連盟活動により主体的に参画できる基盤を確立し、青年層の会員確保と次世代を担う人材を育成していくこと」です。
都道府県によって支部化に関する事情や状況は異なるかと思いますが、最後は、私たち青年部が、これから連盟活 動をどうしていきたいのか—-それが問われるのだと考えています。
私は、看護の未来のために、未来の当事者である青年部が主体的に活動できたらいいなと思っています。青年部の年代は、あと30年、40年後も働かないといけないかもしれません。まさに「我がこと」なんです。青年部1人ひとりが主役で連盟活動を進めていく。そして、みんなで看護の 未来をつくっていきたい、挑戦していきたい! と私は思っています。よろしくお願いいたします。
(掲載:日本看護連盟機関誌N∞[アンフィニ]N∞ 2026年春号)
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