2025.06.16
参議院の全国比例代表の国会議員は、まさに全国を飛びまわって、各地の「現場の声」をうかがい、政策として実現しようと頑張っています。そして、日本看護連盟・日本看護協会と連携する全国比例代表の看護職国会議員は現在2名、石田まさひろ参議院議員と友納りお参議院議員です。
看護職国会議員は、看護職の処遇改善など、「よりよい看護ができる」ための環境を実現するための政策実現に向けた活動を行っています。その政策の基になるのが法律であり、法律を変えることができるのは国会議員だけです。
2025年3月21日に開催された参議院予算委員会において、石田まさひろ議員は質問に立ち、今後の看護の環境改善につながる重要な指摘を行いました。
その内容は「看護職の賃金アップに引き続き対処を」「診療報酬の算定要件の大胆な緩和を」「医療機関は経営危機、予見性ある診療報酬の仕組みを」「まちづくりの中心は地域の医療機関」「地方の看護専門学校の減少と看護職員不足への対処を」「医療機関は災害時など危機管理の重要拠点」で、答弁に立った石破茂総理大臣と福岡資麿厚生労働大臣も石田議員の指摘にうなずき、必要な対応を検討するという前向きな言葉をいただきました。
〈巻頭issue〉では、石田まさひろ議員のこの質問内容を踏まえ、「なぜ、看護職国会議員が必要なのか」を、マンガとイラストを用いて明らかにしていきます。
1.看護職の賃金アップに引き続き対処を
2.診療報酬の算定要件の大胆な緩和を
3.医療機関は経営危機、予見性ある診療報酬の仕組みを
4.まちづくりの中心は地域の医療機関
5.地方の看護専門学校の減少と看護職員不足への対処を
6.医療機関は災害時など危機管理の重要拠点
「看護の未来」を見据えた石田まさひろ議員の参議院予算委員会質問 概要
●看護職の賃金アップに引き続き対処を
コロナをきっかけに、看護師をはじめ医療従事者・介護従事者に対しての賃上げを進めていただいた。しかし、物価高が進み、例えば診療報酬のベースアップ評価料では十分な賃上げを実感できず、むしろ医療・介護分野で働く人たちのモチベーションは下がっている。職員の賃上げを進めていただきたい。
●診療報酬の算定要件の大胆な緩和を
診療報酬改定が現場に過度な負担を与えている。加算はありがたいが、かなり複雑な算定要件がある。改定のたびに、カンファレンスや研修が増えたり、煩雑な記録や監査の対応などのさまざまな業務が発生したりして、本来の業務に集中できなくなっている。
特に、入院基本料の様式9は看護管理者にとって大きな負担だ。算定要件を大幅かつ大胆に緩和し、記録や会議などをなくすといった改革が必要ではないか。
●医療機関は経営危機であり、予見性ある診療報酬の仕組みを
賃上げが進まない背景には、医療機関や介護事業所の経営悪化の深刻さがある。医療機関によっては、かつてはM&A等により経営を維持したが、今は負債が超過して買手が付かず、即なくなるといった事例も増えている。
銀行が賞与の資金を貸してくれず、賞与が払えないので職員が辞めていき、医療機関が経営を維持できなくなるという事例も既に起きている。銀行の融資判断ひとつで医療機関の経営が左右される状況だ。
銀行の融資は将来の収益性を見据えて行われる。従って、診療報酬や介護報酬の体系に物価や人件費の変動を自動的にスライドさせるなど、将来の予見性のある仕組みが必要だ。来春の改定でその仕組みを整えていただきたい。同時に、来春の報酬改定までをつなぐ対策を併せて進めていただきたい。
●まちづくりの中心は地域の医療機関
地方に行くと、そこで一番高い建物はその地域の中核的な急性期病院の建物だというように、まちの中心に医療機関がある。特に交通の不便な過疎の地域では、病院のそばに住む人が増え、スーパーなどの日常生活を支える施設も集まる実態がある。医療機関は、命と暮らしを支えるまちづくりの拠点として総合的な役割を担うことになり、多額の費用をかけて整備を進めていくべきであろう。地域医療介護総合確保基金など医療や福祉を目的とした予算だけではなく、地方創生推進交付金などを活用していくべきだ。
●地方の看護専門学校の減少と看護職員不足への対処を
この10年で看護専門学校の受験者は3分の1ほどに減っており、数年後には地方の看護専門学校がなくなり、地方の急性期病院への新人供給が途絶える可能性がある。例えば石破総理の出身の中国地方だけを見ても、受験生がほぼ横ばいの看護大学は都市部に集中しており、地方の医療を守っているのは看護専門学校だと言える。地方の看護職人材供給について早急な対策が必要だ。
●医療機関は災害時など危機管理の重要拠点
医療機関は、災害があっても、絶対に機能を失ってはならない。中核的な病院は、少なくとも耐震化、洪水対策、さらに電気や水道が止まった場合のバックアップとしての複線化を進めなければならない。患者だけでなく、地域の住民の食料や医薬品の備蓄、場合によってはエネルギー確保も行うべきだ。
また、災害に対応できる人員を確保しておかなければ機能を果たせない。中核的な病院を危機管理の最重点施設として強化すべきであり、防災の補助金なども積極的に活用・整備を進めることを提案する。
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これら石田議員のいずれの質問に対しても、福岡孝麿厚生労働大臣、そして石破茂内閣総理大臣が前向きに検討していく方向性の答弁で応えました。
このように、「現場の声」を国会で発言できるのは「看護職の国会議員」しかいません」。もし、看護職国会議員がいなかったら、看護職の処遇改善をはじめ、多くの政策が国会で議論されることが なくなります。したがって、政策実現は相当遠回りになる可能性があるのです。
緊急集会で決議を採択した同日夕方には、308名の国会議員・前議員の署名とともに、石破茂内閣総理大臣に緊急申し入れを行いました。石田議員はこの緊急要望のとりまとめでも、看護職国会議員として、先頭に立って動き、現場の思いを国に伝える役割を果たしています。 石田まさひろ議員が代表して石破総理大臣に申し入れを行う
マンガ&イラスト:広田奈都美
(カンタ&レンコのイラスト以外)
(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2025 春夏号 No.553)
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