レポート
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よりよい訪問看護のために
松江市内のステーションが結束!

2020.03.25

レポート

松江市内の訪問看護ステーションは、定例会で情報共有をして、まるで一つの大規模ステーションのよう?そんなステーション・ネットワークの中心を担っている、花みずきナースステーションの高橋京子さんにお話を伺いました。

高橋 京子さん(株式会社 花みずきナースステーション代表取締役)

訪問看護にはまった

1988(昭和63)年、高橋さんは、島根県看護協会が始めた訪問看護のモデル事業に参加しました。
「看護師は病院にいるものと思われていた頃です。私は、ノーと言えないので、よくわからないまま(笑)、関わることになりました。それまでは急性期病院と保健師の仕事をしていましたから、衝撃を受けました。当時は寝たきり老人という言葉が使われ、そこには看護介入がなく疲弊した家族の姿がありました。今まで何をしていたんだろう、と涙が出ました。訪問看護に携わって、生気を失くしていた人が回復し、笑ってくれるようになりました。お風呂に入って、おばあちゃんがいい匂いになると、ご家族も気持ちがいいと関係性も変わっていきました。私でも役に立つことがあるんだ、看護は面白いと、はまりました」

訪問看護ステーションの所長、そして独立

1992(平成2)年に、島根県看護協会が訪問看護ステーションをオープン。高橋さんも参加し、2年目からは所長を務めます。
「所長だと言っても、右も左もわからないし、病院とはリスク管理も違います。当時の看護協会長の〝看護の自立〞という言葉に訪問看護の未来を感じました。医師の診断のバトンを受け、自分の判断で患者さんをケアしていくのだ、看護は従属ではないのだと考えまし
た。自立を守るためには、責任を負わなければいけないし、いろいろ勉強しないといけません。また、職員の頑張りにも応えなければいけない。
17年間看護協会の訪問看護ステーションにお世話になり、県内での拡大にも関わってきました」
高橋さんは、2009(平成21)年に独立し、花みずきナースステーションを立ち上げました。

花みずきナースステーション

島根県訪問看護ステーション協会がスタート

1997(平成9)年に、島根県訪問看護ステーション協会が発足しました。
同協会では、島根県から委託され訪問看護師の研修事業などを行なっています。県内のステーションも増え、圏域ごとに抱える事情が異なることから、2013(平成25)年に支部が作られました。花みずきナースステーションが所属する松江支部には、約30か所の訪問看護ステーションが参加しています。松江支部では、毎月定例会が開かれています。
「当初は、訪問優先ということで、集まりは少人数でした。それでも、議事録はすべてのステーションに配っていましたし、定例会では有効な話が聞けると、次第に参加者が増えてきました。今では、定例会の日は、訪問を調整して必ず参加するという人もいます(笑)」

「訪問看護の情報提供書」の統一化

松江市には、3つの総合病院がありますが、各病院の退院調整看護師は必ず定例会に参加されています。
「訪問看護ステーションがもっている現場の生の声を聞くことで、退院調整に役立ち、また、訪問看護のスタッフも、病院からの情報が入ってくるので、勉強になります。毎月参加していると、お互い顔見知りになり、つっこんだ話し合いもできるようになりました。病院の看護師も、退院調整の見方が変わったと言っています」
そのようなやり取りから退院された方の情報を病院に伝える際の「訪問看護の情報提供書」の統一化が図られることになりました。
「形式も、記載されている項目も、訪問看護ステーションによってまちまちでした。一生懸命書いてもきちんと見てもらえなかったり、逆に欲しい情報が書いていなかったり、とステーションによって温度差もありました。最初は、全部のステーションから情報提供書を持ち寄って、病院の方にも参加してもらって、それぞれのいいところ、悪いところをみん
なで検討するところから始めました。そうやって統一した記録用紙は、いい評価をいただきました」
使い始めて、少しずつ修正して、現在は第7版が使われています。

訪問看護の情報提供書

優秀な訪問看護師を一人でも多く育てたい

「情報提供書の統一は、看護の質の底上げにも役立っていると思います。
情報共有して一定のレベルをみんなが保つことで、場合によってはお互いに助け合うこともできます。また、医師をはじめ他職種との連携もスムーズになりました。この人は、何が問題で、何を必要としているのかが、情報共有しやすくなりましたから」
これまでの活動の積み重ねから、松江支部の定例会にはさまざまな情報が集まるようになりました。
「ここから、松江市内全部の訪問看護ステーションに情報が流れますから、あそこは無視できない、という存在になっています(笑)。各団体や行政、製薬会社の人たちもやってきます」
また昨年(2018年)から松江赤十字病院の看護師出向も受け入れています。出向者は1年間、訪問看護の業務を行います。
「短期間の研修では理解できないことも残りますが、1年間だと、患者さんや家族の見方が変わります。嬉しいのは、看護師が『この人にとって何が幸せなことなのか』を常に考えられるようになることです」
「私の目標は優秀な訪問看護師の育成です。在宅で療養されている患者さんのために自分の考えをちゃんと持っていて、看護の技術と知識はもちろん、マネジメント能力も持った看護師を一人でも多く育てたいと思います。」

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