レポート
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世界一強い 訪問看護師

2023.09.27

芦髙 侑平さん(社会医療法人若弘会 わかくさ老人訪問看護ステーション小阪サテライト 訪問看護師)

アンフィニ2023春号で「闘う看護師!空手世界チャンピオンを目指す訪問看護師」に登場した芦髙侑平選手が、去る2023年4月9日、男子無差別級にて世界大会優勝しました!(正式名称:第5回極真連合杯 世界空手道選手権大会)
格闘技の世界では、選手の安全のためにも体重別で試合を実施しています。 相撲の世界では「1つの技を覚えるよりも10kg体重を増やせ」という言葉があるぐらい、体重が重いことが重要視される世界です。その最も重く強い無差別級で優勝したのです。

職場と一緒に取得した金メダル

約50カ国の代表204名と、東京オリンピック2020よりも参加国も代表者数も多い中での優勝です。そのような大きな大会で優勝した背後には、芦髙侑平選手を支える職場との強い絆が存在していました。

芦髙選手は社会医療法人若弘会の在宅部門、訪問看護ステーションに所属する訪問看護師です。訪問看護師として働きつつ、競技者としても活躍する芦髙選手の成功は単なる個人の努力だけでは達成できないものでした。

それは、彼の職場「社会医療法人若弘会 わかくさ老人訪問看護ステーション小阪サテライト」が大いに関与しています。同僚たちは、芦髙選手の競技生活を理解し、支援するために、試合を優先するシフトを組んだり、訪問看護師としての彼のオンコールの負担を配慮したりしてきました。

試合前の期間は特に難しく、その中で、同僚たちの理解と協力は、彼にとって何よりも価値のあるものでした。芦髙選手は次のように語ります。「この金メダルを取得できたのは、職場の皆さんのおかげです。一緒に働く仲間たちの支えと励ましに感謝しています」

芦髙選手の話から、深い絆と共に働くことで、看護師はどこまでも挑戦していくことができることを学びます。彼の金メダルは、彼だけではなく、職場全体での勝利です。

金メダルは、ただのメダル以上のもの、それは彼と彼を支えた仲間たちの絆と努力の証です。

訪問看護師と空手家の二刀流

彼によると、学生時代からスポーツで進学するための競技を持っていなかったため、二刀流の生活が「当たり前」だったといいます。それが、彼の基盤となり、今の生活スタイルを形成する助けとなりました。

芦髙選手の一日は朝5時半に始まります。出勤前の9時までの間に、彼はすでに空手の練習を終えています。その後、訪問看護師としての仕事に取り組みます。仕事が終わると、30分ほど仮眠をとり、体力を回復させます。そして仮眠の後は、再び空手の練習に戻ります。その練習は23時に帰宅するまで続くのです。

このように、芦髙選手の一日は厳しいスケジュールで満たされていますが、それが彼の力を養い、彼を極真連合杯世界空手道選手権大会の優勝者にしたのです。看護師と空手家としての二刀流生活は、常に体力と時間のバランスを試すものですが、彼はそれを極めています。

芦髙選手のストーリーは、決して楽な道ではありません。しかし、その道を歩みつづけることで、彼は自身の可能性を最大限に引き出し、仕事と競技の両方で成功を収めています。彼の生活とその二刀流の秘訣は、多くの人々にとって学ぶべき価値のあるものとなります。

訪問看護師としてのやりがいは?

芦髙選手が訪問看護師としての彼の生活を語る時、その顔つきは一転し、優しくて穏やかな表情になります。そこから彼が本当に看護の仕事を愛していることが伝わってきます。 「毎日、患者さんから『ありがとう』と言われるのが嬉しい。その言葉が毎日のやりがいです」と芦髙選手は語りはじめます。

最近あった出来事としては、ゴールデンウイークのオンコール中に急変した患者さんへの彼の迅速で的確な対応が命を救いました。その行為が看護師としての彼の素晴らしさを示していました。その後、ケアマネジャーや家族からの感謝の言葉が彼に向けられました。彼は「そうした“ありがとう”を集める仕事が看護師の仕事。それが天職だ」と語ります。

その背景には、職場の協力があります。芦髙選手のような体格のいい男性看護師が訪問することに躊躇する家族に対して、同僚たちは、彼のプロフェッショナリズムを説明して理解を深めてくれます。現在、看護師としてのキャリアは3年目の芦髙選手ですが、彼はまだまだ成長の余地があると感じています。「もっと的確に急変対応ができるように、日々看護の道も精進していきたい」と芦髙選手は力強く語ります。

空手家でもあり、看護師でもある芦髙選手の日々は、感謝の言葉を集めながら、それぞれの道を精進することで満たされています。彼の物語は、私たちにどんな状況でも自分自身を成長させ、より良い明日を目指すことの重要性を教えてくれます。

極真カラテとは

空手は、一言で説明するのが難しいほど多様な流派があります。寸止めする流派や防具をつける流派などいろいろあります。極真カラテは「地上最強の空手」と呼ばれるほど、武具も防具もつけず突きと蹴りで全身(突きのみ、顔を除く)直接攻撃をする激しい空手です。

試合で勝敗を決めるのは、①一本勝ち②技あり2本による合わせ一本勝ち③判定勝ち④相手選手の失格の4パターンです。

3秒以上ダウンさせると一本勝ち、技が決まると技ありとなります。判定は、①ダメージ②有効打③手数・攻勢の3つの視点から判断されます。

*芦髙侑平 公式サイトは こちらから

(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2023 AUG-2023 OCT)

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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