レポート
placeholder image

闘う看護師!空手世界チャンピオンを目指す訪問看護師

2022.12.08

芦高 佑平さん(訪問看護師・空手家)

芦高さんは、第35(2019年)回、38回(2022年)オープントーナメントウエイト制・全日本空手道選手権大会超重量級で優勝した実力者。訪問看護の仕事に携わりながら、トレーニングを続け、世界チャンピオンを目指しています。訪問看護は天職だという芦高さんにお話伺いました。

空手を続けられる仕事として、訪問看護という選択肢がありました

幼稚園の時に自分の意志ではなく、母親に促されて入会しました。だから、中学までは空手は好きではなかった。何回もやめたいと思いました。中1の冬から高1までは空手を休んでいましたし、初段になったのは19歳と、遅かったです。

魅力を感じ始めたのは、高校生になってから。その頃に師事していたのは、コミュニケーションをしっかりとってくれる先生でした。でも、続けるつもりはなかったです。大学生になって、たまたま地方大会に出たら、全日本ベスト4の選手に勝ってしまった。決勝では負けたのですが、それで手応えを感じ、空手が楽しくなってきました。

ちなみに2021年の東京オリンピックから「空手」が競技種目となりましたが、それは伝統派空手で、僕たちがやっているのは、フルコンタクト(直接打撃制)空手です。加えて、それぞれに流派があって、互いに軋轢もあります。でも、同じ空手どうし、何かしら繋がる部分やお互い尊敬する気持ちもありますので、個人的にはもっと交流ができたらと思っているのですが……。

大学卒業後は、地元の東大阪でネジなどを売る営業マンや役所で仕事をしながら競技を続けていました。ですが、2年くらい経った頃、競技も仕事もこのままでいいのかなと考えることが多くなりました。ちょっと不名誉な記録なんですけど、僕は、全日本7年連続準優勝という記録を持っているんです。振り返ってみると、僕が子どもの時に空手選手に憧れなかった理由の一つは、全日本チャンピオンになっても、引退後はフリーターなど社会的弱者になることが多いからでした。ただ、全日本チャンピオンを目の前にした時、次の世代に繋げたい、引退したあとも頑張っているチャンピオンの姿を見せたいと思うようになりました。

それで、競技を続けられて引退後も働ける仕事を考えていたところ、訪問看護という選択肢が思い浮かびました。訪問看護師なら社長になれるし、何より楽しそうだな、と。

2022年6月、全日本大会超重量級で3年ぶりに優勝

空手があるから看護にもしっかり取り組める

看護学校の勉強はしんどいこともありましたが、社会人を経験している分、指導者から理不尽なことを言われてもある程度は流せました。夜もしっかり寝ていましたし、空手の練習もできました。

看護学校卒業後は、希望通り、地元の病院の訪問看護ステーションに就職できました。新卒での訪問看護師募集はほとんどなかったので、もうご縁というしかありません。家から自転車で10分で通えるステーションで働かせていただいています。

空手の練習は、1日あたり2、3時間です。コーチをつけてフィジカルトレーニングをしたり、仕事が始まる前に練習したりすることもあります。昔より練習のクオリティーが上がっているぶん、それについていけるメンタルも整えないといけません。年齢のせいか、疲れからの回復も遅くなってきています。なので、休む日を設けて、1日休んだら翌日は朝早くからジムに行くようにしています。

お酒を飲んだりお喋りをしたりして、ストレスを発散される方は多いと思いますが、僕にとっては空手がそれなんです。競技がないと生きていけない。なので、苦しさを感じることはほとんどありません。競技をやっているからこそ、仕事にもしっかり取り組めていると思います。

訪問看護は楽しい。天職だと思っています

どんなスポーツもそうでしょうし、また看護の仕事に限ったことではないですが、人間観察はどちらも大事な要素です。いつもと違うな、という小さな変化を見逃すと、大きな問題になってしまうことがあります。こうしたことにどう対応するのかは、看護師の腕の見せどころであり、空手の醍醐味だと思います。

いろいろな方とコミュニケーションを取るのは好きなので、毎日が楽しいです。民間から役所まで、いろんな仕事をしましたが、訪問看護師は天職だと思っています。僕が働いている東大阪は生活保護を受けている方から、タワーマンションに住まわれている方まで、様々な方がいらっしゃいます。その一人ひとりにドラマやストーリーがある。こうしたことに触れられる仕事はそうそうないと思います。

看護も空手も、これからも挑戦を続けます

僕にとって、空手と看護の二刀流は運命ですから、これからも両方を続けていきます。競技に関していうと、全日本チャンピオンとはいえ、世界大会優勝に向け、挑戦者が王座を奪い取るような強い気持ちで戦いたいと思っているところです。

看護の仕事でも、いろいろ挑戦したいと思っています。訪問看護師としていずれ独立したいと思っていますが、グループホームやホスピス系にも興味を持っています。どれだけAIが発達しても、看護師の仕事はなくならないと思いますから、これからも学びながら、自分のやりたいことが実現できるように頑張りたいですね。

ジムで練習中

空手の応援もよろしくお願いいたします!

来年4月に横浜で開催される世界大会(極真連合杯世界空手道選手権大会)に向けて、応援をよろしくお願いします。私の出ている重量級(85kg以上)や無差別級では、カザフスタンやロシアなど、体の大きな外国人勢も強いです。遠征費などにお金もかかります。幸いなことに、僕を応援してくれる方は、負けた時にこそ声を掛けてくれる、本当にありがたい方ばかりです。

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
日本看護連盟

 © 2020 日本看護連盟 アンフィニ