2022.11.23
10月31日に看護師向けメンタルサポートサービス「Nurse.be(ナースビー)」をリリースした 株式会社Plusbase(プラスベース)が、10月5日にメディア向けの勉強会<コロナ禍における看護職のメンタルヘルスの今〜ひっ迫する医療現場で見過ごされる「看護職のメンタルヘルスの危機」とは〜>を開催しました。
Plusbase CEOの共同代表を務める看護師のWim. サクラさんと、労働者の睡眠と看護職のメンタルヘルスについて研究されている産業医の室井慧さんが講師を務めました。
医療従事者のメンタルヘルスの実態について
はじめに、Wim. サクラさんが、医療従事者のメンタルヘルスの実態について解説しました。
日本では、ここ数年、医療福祉の業界からの精神障害による労災保険の申請件数が圧倒的に多くなっていて、メンタルヘルス不調から現場を離れる医療従事者も多く、人材不足が深刻化しています。特に、看護職は労働負荷の変動も大きく、メンタルヘルスの領域ではハイリスクグループに分類されています。
新型コロナ・ウイルス感染症の入院患者が増加し、看護職の過剰労働が浮き彫りとなり、社会的にも看護職のメンタルヘルスについて関心が高まるようになりました。聖路加国際病院が行ったコロナ禍における医療従事者のバーンアウトに関する調査では、看護師が一番多かったという結果が出ています。とりわけ比較的経験の少ない若い看護師たちは、メンタルヘルスに強い影響を受けています。
コロナ禍によるストレスだけではなく、看護師特有のメンタルヘルスの不調の要因がさまざまにあります。
例えば、夜勤などの交代勤務、セクハラやパワハラといった人間関係、また、命に関わる仕事内容からくる業界独自のルールや閉鎖的な空間が、看護職のメンタルヘルスに影響を及ぼします。
さらには、モラル・ディストレスと言われる、医療者自身が倫理的に正しいと思う行動を、制度やさまざまな障害によって取ることができない時に生じる葛藤があります。例えば、資源が限られている中で治療する方を選別しなければならないといった葛藤です。
医療機関の9割以上が産業医を設置し、ストレスチェックを実施したり、高ストレス者への面談を実施していますが、Plusbase社が行ったアンケートによると、現場では、効果を感じていない人も多かったそうです。そのような制度を知らないとか、扱いづらいといった声が上がっていました。また、産業医が院内の医師であるため、身内で相談しづらいという課題もあります。
日本では行政の取り組みに看護職のメンタルヘルス支援が具体的に取り上げられていません。コロナ禍において、看護職のメンタルヘルス・ケアが十分に提供されないでいると、現場の人手不足に拍車をかけることになりかねません。ひいては、全国民にとっても大きな問題になり、その支援は非常に急務と考えられます。
職場のメンタルヘルス・ケア
つづいて、室井慧さんが職場のメンタルヘルス・ケアについて解説しました。
室井さんは、職場のメンタルヘルスケアである、下記の4つのケアについて解説されました。
①セルフケア、②ラインによるケア、③事業場内産業保健スタッフ等によるケア、④事業場外の資源によるケア、この4つが継続的に計画的に行われることが重要と言われています。
セルフケアは、その労働者自身がストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解があり、ストレスチェックなどを活用して、ストレスに自分が気付くことができるというケアです。
ラインによるケアとは、上司や管理者が部下に対して行うメンタルヘルス・ケアです。上司、管理者が職場環境の把握と改善を行ったり、部下に対するメンタルヘルスや体調の相談・対応る、部下が休んだ場合の職場復帰支援などがあげられます。
事業所内産業保健スタッフが担うのは、職場の産業保健のプロとして具体的なメンタルヘルスケアを実施する企画を立案し、医学的な助言をするというケアです。また、事業場外の資源とのネットワークを作ったり、専門的に職場復帰に対する支援も行います。
事業場外の資源によるケアとは、事業場の外にあるサービスで、公的なサービスである地域保健機関や、民間のサービスを利用するメンタルヘルスケアを指します。
看護職個人が実践できるセルフケアや外部によるケア
室井さんの解説の後、WIM.サクラさんが、看護職個人が実践できるセルフケアや外部によるケアについて紹介しました。
まず、メンタルヘルス不調の定義として、働いている人々が抱える何らかの生活に影響を与えるような心の問題全般を言う、と紹介しました。また、メンタルヘルスに対する誤解もまだまだ少なくありませんが、メンタルヘルス不調は、ストレスが過剰な状態では誰もがなる可能性があります。
これらを踏まえた上で、看護師一人ひとりがメンタル不調を予防していくために、つぎの3つのポイントを紹介し、解説しました。
1つ目は、ストレスに気づいて対処する力をつけていくこと。
2つ目は、メンタルヘルスについて学んで理解していくこと。
3つ目は、さまざまな相談先や頼るところを知ること。
ストレスに気づいてセルフモニタリングし、適切なセルフケアにつなげることが重要です。セルフケアとしては、リラクゼーション、ストレッチ、軽い運動、などがあげられます。また、快適な睡眠も重要です。親しい人と交流し、相談してアドバイスをもらうことも大切です。
なによりも大切なのは、一人で抱え込まないことです。
メンタルサポート・アプリ ナースビー
最後にWIM.サクラさんたちの会社Plusbaseが運営する、メンタルサポート・アプリ ナースビーが紹介されました。LINEを利用して簡単にセルフチェックができるサービスです。
株式会社Plusbase(プラスベース)の情報は(こちらから)
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