レポート
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一番見られるところで笑顔になってもらいたい

2020.04.26

高見寿子さん(美筋研究家/癒し空間ふぅ代表/美筋Lab主宰)

レポート

建設業からエステティシャンに転身し、 女性の美を追究して歯学部の解剖学教室と共同で解剖学模型までつくってしまった高見さん。 「楽しいことしか、したくない」と言いながら、楽しむための努力は惜しまない。 そんな高見さんに、笑顔のこと、模型のことについて、お話を伺いました。

重機オペレータからエステティシャンへ

高校を卒業してから、最初、建設業の会社に入り重機(クレーンやバックホーなど建設機械)を操縦していましたが、 女性が笑顔になる、そんな仕事がしたいと思い、エステティシャンを目指しました。 女性が笑顔になれば、男性も嬉しいですよね。ということは女性を笑顔にすれば、世界中が幸せになる、平和になると思ったんです(笑) 今思えば、重機は繊細な動きからパワフルな動きまであり、人間の身体と同じで、バランスが大切です。

一番見られるところで、笑顔になってもらいたいから顔の筋肉を研究することにしました

整体の学校に通いながら、エステサロンで働いて資格を取りました。施術をしていると お客様の身体の仕組みや動き方などついて、疑問が次々と出てきました。
女性をより美しくするためには、やはり身体の構造を詳しく知る必要があると思い解剖学やリハビリテーションの本を買って調べているうちに、 解剖学に興味を持つようになりました。解剖学セミナーで解剖学の先生方に出会い、解剖学の知識が増すにつれ自分の無知を実感し、学ぶことの面白さを覚えました。 働きながら通信大学で、精神医学を学びながら表情筋を研究する機会も得ることができました。 顔の筋肉を研究している人は少なくて、論文の数も多くないため、研究するのはたいへんです。
でも、私はエステティシャンだから、やっぱり顔の筋肉を、表情筋を研究し続けたい。 ないなら自分でやるしかないと思い、家族、恩師やスタッフの協力を得ることができたので大学院に行くことにしました。

表情筋の模型もないから、自分でつくってしまおう

川崎医科大学にいらした先生が、紙で筋肉の全身模型をつくられているのですが、顔がなかったんです。 じゃあ、自分でつくろう、と。それで、新潟大学、医学モデル工業と私のサロンで、産学協同プロジェクトとして表情筋の模型を開発しました。 完成まで3年近くかかりました。
初の表情筋模型で、各パーツをバラバラにすることもできます。 これを「表情筋・咀しゃく筋モデル」として販売しています。 当初はエステティシャンの技術向上、知識を深める一助になればと思い製作しましたが、歯科や整形外科の先生方からもご好評をいただいております。

新潟大学、医学モデル工業と高見さんが共同開発した「表情筋・咀しゃく筋モデル」。各パーツはマグネットになっていて、簡単に分解・組み立てが可能。

日本人類学会の考古学シンポジウムで発表することになり、 私は自分の軟組織の復顔を試みることになりました。 最初、真顔で作製しようとしましたが、どうしても不自然に見えてしまうのです。 自然な表情をつくるには、やっぱり笑顔がいいし笑顔の優位性を科学で証明するためにも、 笑顔の復顔を作製し、学会発表することにしました。 自分のMRIとCT画像をもとに復顔模型を製作しました。 東北大学で、CT画像から3Dプリンターで頭蓋骨をつくってもらいました。
そして、筋の厚さを測り表情筋の模型を作製しました。筋肉の図を自分の画像と照らし合わせて筋線維を描いてつくっていきました。 歯科医の印象を採る材料を使って削りました。
今後は皮下脂肪や耳下腺などを作製して、より自分の顔に近い形を再現し加齢変化も可視化できればと思っています。

解剖学は、もちろん、エステティシャンの仕事にも役立っています!

エステティシャン向けの美筋学アカデミーでも模型は役に立っています。 これが口角を下げる口角下制筋、これは鼻根筋と言って眉間の根元にあって、 ここが縦じわをつくるんだよ、というように教材として使用しています。
解剖学を学ぶと口角を上げるにも、 口角を上げる筋肉だけではなくて・いー・っとする頬筋が使われていないときれいな笑顔にならない、 というように見えてきて面白いです。
施術をするときも、筋肉の付き方が人によってかなり違うのですが、そのこともよくわかるようになりました。 左右でも違うんですよ。個人差もけっこうありますが、職業でも違いがあります。 営業マンだと、愛想笑い筋がすごく凝っている方が多いですね。

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看護師さんって、きれいに笑う方が多いですよね。やりがいのある仕事だからでしょうか。
でも、我慢筋と呼んでいるんですが、ぐっと食いしばる筋が固い人も少なくありません。 そうすると、だんだんその周辺に厚みが出てきて、たるみやすくなります。 そのあたりの血流が悪いとお肌のトラブルが出やすいんです。 夜勤のある方が多いから、不規則な生活がお肌に影響しやすいのかもしれません。 顧客満足度とスタッフの充実感と満足度向上、さらには自然な笑顔で接客するための笑顔セミナーを開いて欲しいとご依頼を受けることがあります。 若い人たちに表情筋などを動かす美筋ストレッチのレッスンを入れながら、 笑顔って印象に残ったり小顔になったり、こんなに得があるんだよ、というお話をさせていただいています。

生きていくためにも笑顔は大切

自分の顔にコンプレックスを持っている女性も、けっこう多いのです。 特に若い人は見た目が大事なので、顔が大きいからと前髪で隠したり、 左右差があるから片側だけ隠したりする人も多いです。 お客様のなかに、ご自分に否定的で前髪などで顔を隠していたんですが、 何とか自分を変えたいと来店された方がいらっしゃいました。
なぜ上手く笑えないのかが、自分ではわからない。
美筋をストレッチして笑いやすくなったと、驚いていました。 口角を下げる筋肉が固くなっていて、笑いづらかっただけだよと伝えましたら、涙を流して喜んでいました。 その後、お化粧をしたり、おしゃれを楽しむようになったとご連絡をくださいました。 この仕事をしていてよかったな、と実感しました。 今、コミュニケーションとか人間力が必要だと言われているなかで、 豊かな表情をつくれることは大切だと思います。表現するだけではなくて生きてくためにも。 笑顔がきれいな人のほうがやっぱり得じゃないですか。

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楽しく美しくなれるように、美の見える化を目指したい

今年(2018年時点)は、修士論文を提出し修了して、博士課程に進むことが目標の一つです。
修士論文のテーマはもちろん、表情筋です。
それと同時に、私の仕事は、お客様の笑顔のお手伝いですから、笑顔の人をたくさん増やしてご家族も、そして世界も平和にしたい。 それを目標に、世界に向けて論文を出せるようにしたいです(笑)。 それから、美の見える化。美の可視化をしていきたいです。 たとえば、しわってこういうことだから、こうすると軽減されるよとか、 そういうことを科学的に表現するために、美筋学、美筋ストレッチ、美筋スペシャリスト、美筋研究家を商標登録したことも、その一つです。 私たちは美筋と呼んでいるのですが、楽して美しくなるための筋肉です。
地道にトレーニングできない、やりたくない方が、楽して簡単に美しくなれたら合理的ではないか、と考えています。 楽しみながら美しくなった方が絶対いいし、周りも幸せだと思います。
今年はYouTubeなどにも、美筋についてアップしようかなと思っています。 顔だけでなく、リフトアップやくびれとか、女性らしい理想の体型を目指すような内容にしたいです。 家族をはじめ、多くの先生方や友人、お客様への感謝の気持ちを忘れないで、仕事や研究をさらに進化させていきたいと思います。

外部リンク:癒し空間ふぅ/美筋LAB

(広報:千葉明彦 写真:紀善久)

(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2018年春夏号)

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