レポート
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ボクシングと看護って似ているところがあるなって思います

2020.09.29

谷山佳菜子さん(ボクシング)

レポート

マザー・テレサに憧れて看護の仕事に就いた谷山さんは、一方で、空手、キックボクシングで世界の頂点に立ったアスリートでもあります。 現在は、心機一転し、看護の仕事を続けながら、プロボクシングの世界に挑戦しています。

戦うナース 谷山佳菜子さん

やっぱり看護の仕事に就きたい!

小学校低学年の頃に、マザー・テレサの伝記を読んで、とても感動して、自分も人の役に立つ仕事に就きたいと思っていました。 でも、勉強があまり得意でなかったので、諦めかけていました。高校2年の時、学校の帰り道のバス停で倒れている人がいて、 周りの人は見ているだけで、自分もその人を助けたいけれど、どうしたらいいかわからず結局何もできませんでした。そのことが ショックで、やっぱり看護師になりたいと思い直したんです。勉強が不安でしたが、高校の先生方に相談したりして熊本市医師会 看護専門学校の准看護科に入りました。

自信がもてない自分を変えたかった

父親が格闘技が好きで、小学校のころ一緒にK1のテレビ中継をよく観ていて、アンディ・フグ選手やピーター・アーツ選手のファンになりました。 その時は観るだけで、自分からやろうとは思いませんでした。

中学の時、コンプレックスがあって自分に自信が持てなかったんですが、そんな自分を変えたいと思っていました。高校1年のとき、K1の母体と なった正道会館という空手の熊本支部があったので、その道場で空手を始めました。
看護学校を卒業して、熊本市内の道場の近くにある整形外科のクリニックに勤めました。仕事が終わってすぐに行けるし、夜勤がなければ練習を 続けられると思ったのです。

空手の世界一になってキックボクシングに転向

始めたからには、空手で世界チャンピオンになるという目標がありました。その目標のため、正道会館の本部がある大阪に移りました。 大阪では、最初、人工透析のクリニックに勤めました。

おかげで2009年の時に、空手の極真会館という他流派の世界大会でチャンピオンになれました。また、2連覇もできました。空手の目標が 達成できたので、憧れのアンディ・フグ選手のように私もリングに上がりたいという思いもあって、キックボクシングに転向しました。 私がやっていたのはフルコンタクトの空手でしたが、空手はパンチで顔は打たないんです。そのため、空手の方が間合いが近いんです。
キックボクシングとの距離感の違いに戸惑い、最初は、顔を打たれる恐怖感を克服することから始めました。2010年の12月にキックボクシングの プロデビューをしました。キックボクシングにはいろいろな団体がありますが、3団体で日本一になりました。
しかし、世界チャンピオンを目指す前に膝を怪我してしまい、断念しました。

キックボクシングからボクシングへ、そして東京へ

膝は、1年半ほどリハビリを行いました。手術も3回して、動いては不調になって、という感じでした。リハビリをしている間も、上半身の 筋トレなどは欠かさずやっていました。ただ、練習はできないので気持ちは焦ってくるし、膝もなかなか治らないので、すごく辛かったですね。 キックボクシングに戻りたくてリハビリも頑張ったんですが、医師からも厳しいだろうと言われました。

それで、キックボクシングは諦めて、ボクシングに転向することにしました。キックは難しいですが、筋力をつければボクシングの フットワークは大丈夫だろうということで。それを機に、昨年(2018年)の6月に東京に移って、ワタナベボクシングジムにお世話になっています。 また、大阪のクリニックが紹介してくださいまして、今は乳腺外科のクリニックに勤めています。
昨年12月に、プロデビュー戦を大阪で行いまして、6ラウンド戦でしたが、2ラウンドTKOで勝つことができました。緊張してしまって動きが 硬かったので、自分としては納得いかない部分もありましたが、初戦を勝てたことは嬉しかったですね。今年の目標は、東洋タイトルを獲ることです。
もちろん、最終的には世界チャンピオンを目指します。

看護とボクシングは似ているところがある

富樫直美さんもワタナベボクシングジムに所属されていたので、お会いする機会がありました(富樫さんも元女子プロボクサーで、以前アンフィニで 紹介したことがあります)。
富樫さんのドキュメンタリーも観ました。助産師をされながら、顔を腫らして出勤するところもあって、激務のなかトレーニングを続けたりしていて、 すごいなと思いました。看護の仕事は、精神的にも肉体的にも辛いところがあって、富樫さんみたいに、強い意志がないと続けられないと思います。 ボクシングにもやっぱり辛いことがいっぱいあります。でも、たいへんだから、頑張ってみよう、もう少しつづけてみようと思う部分もあるかな。 そんなイメージをもっています。

看護も、ボクシングも、感情をあまり出してはだめで、冷静に相手を見なければいけない点も似ています。でも、その先は、看護は相手が求めていることを 行い、ボクシングは相手がいやがることをすることになりますが(笑)。
世界チャンピオンになって、仮に裕福になったとしても、看護の仕事は続けると思います。看護を通じて、人の役に立つ仕事をしていきたいので。

photo 紀善久

(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2019年秋号)

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