2021.06.30
大塚 純也 おおつか・じゅんや ( 群馬県看護連盟青年部 )
学生時代の国会議事堂訪問
私が学生だった2007年のこと、全国の看護学生数名とともに国会議事堂へ招待されたことがありました。7対1看護配置基準が新設された 診療報酬改定の際、日本看護連盟が制作した看護政策についての解説DVDを学校で視聴し、感想文を書いたところ、お声がけをいただいたのです。
国会議事堂の控室には、秋田、静岡、大阪、鹿児島など全国から20名ほどの看護学生が集まっていました。国会議事堂や日本看護協会、 自民党本部等を一通り見学したのち、当時の看護師出身の国会議員の方々とお会いする機会を得ました。「看護師は国民の命を守る専門職です。 私たちの仕事、処遇は、法律に則り決められています。私たちのような国会議員や看護協会がないと、私たちは私たち自身のことも決められない のです。私たちのことは私たちで決めましょう。私たちの処遇まで、医師の指示に従うことはないのです」といったお話をされていました。
看護と政治が密接な関係にあること、政治の世界で看護師が活躍することに大きな意味があること、医療の現場では医師の指示に従うが、 政治や行政の場では自分たち看護師の立場は自分たちで考え、決めていいのだと感じたことをよく覚えています。
青年部の方々との出会い
また、国会議事堂に招待された際、当時の看護連盟青年部の方々ともお会いする機会がありました。当時の私たちより少し上の年代、 20代半ばくらいの方が多かったと思います。
「看護師さんたちは勤勉な人が多い。そして同じくらい自己犠牲の精神を持った人も多い。患者さんのためなら仕方ないよねって我慢しがち。 でも私たち看護師も専門職だから、自分たちの意見を言わずに我慢するだけでは、結局自分たちだけでなく自分に関わる人々、患者さんやその家族、 自分の家族にもよくない影響を及ぼしてしまうかもしれない。例えば夜勤や労働環境のこと、自分たちが働きやすくなれば、患者さんにも余裕を 持って接することができるし、早く帰ることができれば家族と過ごす時間も増やせる。だから私たちの環境を良くすることは、自分たちのためだけじゃない。 いろんな人にいい影響があるんだよ」
「バタフライ効果って知ってる?ブラジルで蝶が羽ばたくとアメリカで竜巻を起こし得るっていう理論なんだけど、要するに小さなきっかけが 少しずついろんな変化を引き起こして、大きな変化につながるっていう話。政治の話でいえば、私たち一人一人の力は小さいけれど、 一人が行動を起こすことで周りを巻き込んで大きな流れになって、看護界や政界、日本も変える力になるかもしれない」
それまで、自分たち看護師がどういう立場にあるのか、考えたことすらなかった自分にとって、とても新鮮で、大きな衝撃を受けました。 テレビの向こう側の世界だと思っていた政治の世界で、看護職の国会議員や青年部の方々など、看護に関わる人が活躍している。自分たち看護師と 政治は決して無関係ではないし、自分たちの力で政治を動かすことができる。自分たちの小さな力、行動を起こすことこそが政治の原動力なのだと 肌で感じました。
若い世代が政治に触れる経験を提供
自分自身が学生の時に政治家や政治を身近に感じられた経験から、私は今、ポリナビワークショップという政治や政策を伝えるイベントや研修を通して、 若い世代の看護師に国会議員と交流したり、政治に触れたり考えたりする機会を提供しています。政治や政策を理解するのは簡単なことではありませんが、 だからこそ私たちの腕の見せ所です。私たち青年部が、同年代の看護師たちに理解しやすい言葉や雰囲気、パワーポイントのスライドなどで理解を促すように 努めています。
ポリナビワークショップだけでなく、ありがたいことに県内の看護学校から講義の依頼をいただくこともあります。学生のうちから政治や政策に触れることで、 目の前の医療だけでなく大局的な見方ができるようになれば、きっとニュースや出来事を見聞きした時の考えや行動が変わってくると思います。
自分たちの力でバタフライ効果を
自分たちの力こそが政治の原動力です。私が学生の時に刺激されて政治に関心を持ったように、ポリナビワークショップや学校の授業で私が 活動することで、政治に関心を持つ看護師が少しでも増えて、やがて大きなバタフライ効果が生まれることを期待しています。
2021.05.05
2024.08.09
2022.04.18
2022.04.25
2020.09.20