2022.03.02
佐々木チワワ
扶桑社 定価 902円
悲しさなどを表す語「ぴえん」。地雷系・量産型のファッションメイクで歌舞伎町にたむろする、闇を抱えた女の子たちを「ぴえん系」というらしい。本書はぴえん系の生態をはじめとする、歌舞伎町に集うZ世代の風俗文化を分析する。
オーバードーズをして彼氏と飛び降りようとする。リストカットがSNS映えになる。ホスト殺害未遂事件の犯人女性を崇拝する。「推し」のために身体を売る。そんなぴえんたちは、SNSを媒介にして、他者からのまなざしにとらわれている、と著者は指摘する。確かに、彼らはSNSという鏡に向かって、何かを、誰かを演じているようにも見える。現代の消費文化を凝縮したようなその姿は、一方で、ガングロギャルなど、かつての若者たちも想起させる。派手派手しい表層の下の孤独を感じさせる点において。
著者は、2000年生まれ。10代から歌舞伎町に通い続けているという。冷静な観察者により、現代ユースカルチャーの明晰な記録が誕生した。
(紹介:大橋 礼子)
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