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東京裏23区

2020.03.26

本橋信
大洋図書 定価1,500円+税

東京に暮らしていると、東京という場所自体が巨大な生き物のように感じることがある。ヒト、モノ、コトの数量が異様に多く、それを餌にして「東京」が生き続けているような妄想めいた感覚。そして、この大都市は事件に事欠かない。本書は、23区各地で起きた犯罪をメインに、それぞれの土地が放つ匂いを炙り出すアンダーグラウンド放浪記だ。
公園、テレクラ、ラブホ街、競艇場、著者は路上をフィールドワークしながら、その地の歴史をたどる。木嶋佳苗が住んだ豊島区、東電女性社員が夜な夜な路上に立った渋谷区、地下鉄サリン事件の舞台になった中央区、阿部定が吉蔵を殺した荒川区。事件の記憶とその地がもつ空気感が混ざり、濃密なエネルギーに満ちた23区の地図が立ち昇る。やはり東京は生き物か。人をおびき寄せて離さない、魅惑の奈落へようこそ。
(大橋礼子)

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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