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看護師のストレスの原因は?5つの対処法もご紹介

2021.07.21

野田 裕貴 のだ・ひろたか

肉体的、精神的に過酷な看護の現場。忙しい業務のなかで、ストレスに悩む人は多いのではないでしょうか。

近年、心の健康と呼ばれるメンタルヘルスが重要視されており、厚生労働省は2006年に発行した 「労働者の心の健康の保持増進のための指針(2015年改正)」で、メンタルヘルス対策の積極的推進を示しています。
参考リンク:「労働者の心の健康の保持増進のための指針」厚生労働省、 最終アクセス:2021年7月12日

メンタルヘルスについて看護職はハイリスクグループといわれており、職場でのストレスへの対応は 重要な課題といえます。
この記事では、看護師が感じるストレスの原因と、その対処法をお伝えします。健康的に仕事と生活に取り組むために、 ストレスとうまく付き合う方法を身につけましょう。

看護師が感じるストレスの原因

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まず看護師はどのような原因でストレスを感じるのか、具体的な例を挙げてみます。

  • 忙しい、仕事量が多い
  • 不規則な勤務形態
  • 責任が重い
  • 医療やテクノロジーの進歩についていけない
  • 自分の能力以上の対応を求められる

ここで挙げた原因以外にも、人によっては対人関係や職場環境によってストレスを感じる可能性もあります。 適度なストレスはほどよい緊張や刺激になりますが、長期間の過度なストレスは身体や心に悪影響を与えます。 健康を維持するためには、適切にストレスに対処することが大切です。

看護師のストレスは誰が対処するの?

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看護師が仕事で受けるストレスにはさまざまな原因がありますが、それらのストレスはすべて一人で 対処しなければならないのでしょうか。

職場のストレスは職場全体の問題

職場のストレスすべてを、個人で解決するのは困難です。
厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針(2015年改正)の中でこのように述べています。
“(前略)職場に存在するストレス要因は、労働者自身の力だけでは取り除くことができないこともあり、労働者の心の健康づくりを 推進していくためには、事業者によるメンタルヘルスケアの積極的推進が重要です。”
引用: 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」厚生労働省、最終アクセス:2021年7月12日

ストレスは一人だけで立ち向かうのではなく、 職場全体で対処することが大切といえます。

十分なケアができない看護の現場

厚生労働省の指針をもとに、多くの職場でメンタルヘルスケアへの取り組みが行われる一方、看護協会はこのように述べています。
“メンタルヘルスについて、看護職はハイリスクグループといわれていますが、現場ではまだまだ十分なケアができていないのが実情です。”
引用:「看護職の働き方改革の推進」公益社団法人日本看護協会、 最終アクセス:2021年7月12日

職場で適切なメンタルヘルスケアを受けられることは理想ですが、どの職場でも十分なケアを受けることは難しいといえます。
ただし職場からのケアを受けられなくとも、自分自身でストレスに気づき、対処しようとすることは可能です。

できることから始めよう!ストレス対処法5選

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具体的なストレス対処法を5つご紹介します。始めやすい方法から試してみましょう。

1. ストレスを把握する

ストレスに対処するためには、まずあなたが「ストレスを受けている」と自覚することが大切です。 ストレスを受けると、人によっては、頭やお腹が痛くなる、イライラする、夜眠れなくなる、飲酒量が増えるといった変化が ストレス反応としてあらわれます。あなた自身のストレス反応を知っておけば、ストレスを受けたときに早く気付けるようになります。
またあなたの職場でのストレスレベルがどれくらいなのか、ツールを使って調べることも可能です。スマホですぐにできるので、試してみるのもよいでしょう。
参考リンク: 「5分でできる職場のストレスセルフチェック」こころの耳 (厚生労働省事業)

2. 「3つのR」を意識する

ストレスの基本的な対処法として覚えておきたいのが、3つのRです。

  • レスト(Rest):休息、休養、睡眠
    しっかり身体と心を休めましょう。
  • レクリエーション(Recreation):趣味・娯楽や気晴らし
    運動や旅行など、ストレス発散になる活動をしましょう。
  • リラックス(Relax):ストレッチ、音楽、瞑想、アロマセラピーなど
    気持ちを落ち着かせるリラクゼーションを取り入れましょう。

日頃から3つのRを意識し、身体や心が疲れ切ってしまう前にストレスに対処しましょう。

3. 誰かに話す

仕事上のつらいこと、悩みなどを誰かに話すことも効果的です。聞いてもらうだけで楽になることもありますし、話すことで頭が整理されて解決方法が見つかるかもしれません。つらいこと、悩んでいることなど、気の許せる同僚、友人、家族に話してみるのもよいでしょう。

4. 職場環境の改善に取り組む

労働時間や勤務体制、作業手順などの職場環境は、仕事のストレスに関係しています。職場環境を改善することで ストレスを軽減し、身体や心の不調を予防する方法もあります。
ただし周りを変えるためには時間もエネルギーも必要で、個人ではもちろん、職場の取り組みでも変えられないことがあります。 看護連盟は「ベッドサイドから政治を変える」をスローガンに掲げ、法律や医療制度にはたらきかけることで、看護師の働きやすい 環境づくりに取り組んでいます。

5. 管理者に相談

自分だけでストレスに対処しきれない、職場環境の改善が必要な場合には、管理者に相談してみましょう。 業務改善や仕事量の調整、場合によっては部署異動などの対策をしてくれるかもしれません。
「上司にはちょっと相談しづらい」と思うかもしれませんが、部下のメンタルヘルスケアも管理者の役割の1つです。 仕事に支障が出るほどストレスを抱える前に、遠慮せずに相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

過酷な現場で働く看護師にとって、ストレスは切っても切り離せないもの。ストレスをすべて無くすことは 不可能ですが、心の健康を保つためにはうまく付き合っていくことが大切です。今回ご紹介した対処法をぜひ試してみて くださいね。


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著者プロフィール

野田 裕貴 のだ・ひろたか

看護師・ライター
名古屋市在住 山梨大学医学部看護学科卒。
藤田医科大学病院で11年勤務し、ライターへ転身。 非常勤で看護師として働きつつ、書籍の執筆協力、 企業Webサイトへの記事執筆、Webメディア運営などを行う。
https://www.medicaproject.com/

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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