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暮らしの中の年中行事について Lesson.10

2020.12.02

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医療スタッフに必要な社会人マナー
~季節の変化を味わい、人生を豊かにしましょう~

明石 伸子 (日本マナー・プロトコール協会 理事・事務局長)

Q1  もうすぐお正月。お正月の由来などを教えてください。

A : 新しい年を迎えるときは、誰しもが何らかの〝想い〟を抱くものです。特に病気やケガで入院中の患者さんにとっては、新年が良い年であって欲しいと 願う気持ちは人一倍強いはず。明るい年が迎えられるよう、患者さんの出身地にちなんだお正月のしきたりなどについて、たずねてみてはいかがでしょうか。

お正月の由来

「八百万(やおよろず)の神」」という言葉をご存知ですか? 農耕民族である日本人は、自然や祖先の魂などのすべてが神様になると考え、それで八百万もの神々が 存在すると信じていました。また、新しい年も「歳神(としがみ)」という神様が家々に来臨し、人々に一つ年を与えるものと考えていたので、家の内外をきれいに清めて 「歳神様」をお迎えし、農作物の豊穣や家内安全を祈ったのです。  
「正月」という言葉の由来ははっきりしませんが、多くのものがそうであるように古代中国から伝わったようです。〝正しい月〟とは、まさに年頭に相応しい印象の言葉です。

 

さて、今では夜中の0時になると日付が変わりますが、江戸時代までは日没が新しい一日の始まりと考えられていたため、31日の日暮れから「正月」は始まっていました。 そして、朝日が昇る一日(ついたち)の朝を「元旦」と呼んだのです。新年は、古来よりどこの国でも最も盛大に祝われる行事です。もちろん日本人にとって重要な節目の 儀式なので、お正月には多くの伝統的なしきたりが今も残っています。

おせち料理

日本には四季があり、季節の変わり目の日を「節日(せちび)」といいます。節日に神様にお供えする料理のことを「節供料理(せっくりょうり)」といいました。 昔は折々の行事に振舞われていましたが、次第に一年の中でも最も盛大に祝われるお正月の節供料理のことだけを「おせち」と呼ぶようになり、今日に受け継がれています。 料理の内容は地方によってさまざまですが、現在のようになったのは江戸時代後期といわれ、おせち料理は言葉の語呂を合わせた縁起物で作られています。

◦黒豆……一年の邪気を祓い、「まめ(健康)に暮らす」「まめまめしく働く」という意味
◦数の子……多くの卵を産むニシンにあやかって、子孫繁栄を願う
◦田作り(ごまめ)……昔、田んぼの肥料だった小魚にちなんで、豊作を祈願する
◦昆布巻……「よろこぶ」の語呂合わせ
◦鯛……「めでたい」に通じる
◦ごぼう……地下にしっかりと根をはることから、「一家の土台がしっかりするように」と願う
◦里芋……小芋が多い里芋にちなんで、「子宝にめぐまれるように」との願いがある
◦紅白なます……紅白の色のめでたさと、大根には胃の消化を助ける働きがある
◦栗きんとん……きんとん(金団)とは「金が詰まった」という意味で、豊かな一年を願う

お雑煮

「雑煮」とは、いろいろなものを一緒に煮込んだ料理のことで、かつては正月に限定されたものではありませんでした。しかし次第に、歳神様に供えたお餅や供物を下げて、 土地の特産物などと一緒に煮た正月料理を「お雑煮」と呼ぶようになりました。  
地方によってお餅の形や、入れる具、だしの種類まで千差万別です。どれが正統ということはありませんが、一般に、関東では四角い切り餅を入れたすまし汁、 関西では丸餅を入れたみそ仕立てが多いようです。お雑煮の具やお餅の種類や数などを聞くことで、その方の出身地がわかることもあり、各地のお雑煮自慢を聞くのも楽しいものです。

Q2  正月にちなんだしきたりを子供たちに教えたいのですが……。

A : お正月にはたくさんの伝統行事があります。最近は、そうしたしきたりを知らない人が増えているようですが、年中行事やそれに伴う慣習の多くは、 平安時代から今日に受け継がれてきたものです。こうした日本古来のしきたりを、ぜひ、子供たちに教えて次の世代にも受け継いでいきたいものです。

お年玉

子供たちがお正月、何よりも楽しみにしているのは、「お年玉」でしょう。今のお年玉は、ポチ袋に現金が入っていますが、もともと「お年玉」とは、 歳神様にお供えしたお餅を年少者に分け与えたのが始まりといわれます。ですから、昔のお年玉は現金ではなく、小さなお餅だったのです。それが、 江戸時代になって、商家の主人が奉公人に正月に小遣いを与えるようになったことで、お餅から現金になりました。このように、年の初めに年長者が、 年少者や自分よりも身分の低い者に新年の挨拶として贈るものが「お年玉」です。それに対して、お世話になった人や目上の人に年始に贈るのが「お年賀」です。
今の時代、「お年玉」として子供にお餅をあげたら、さぞやひんしゅくをかうことでしょうね(笑)

初夢

「一富士(いちふじ)、二鷹(にたか)、三茄子(さんなすび)」ということわざを聞いたことがありますか? これは、江戸時代に流行った〝おめでたい初夢〟の 象徴で、富士山と鷹、そして茄子の夢をみると、その年はよいことがあると言われました。どうしてこれがめでたいの?と疑問に思われるでしょうが、 実は当時の将軍、徳川家の出身地である駿河(今の静岡県)にちなんだものだそうです。特に徳川家康が好んでものとして後世に伝わり、家康にあやかれるようにと 言い伝えられたようです。

このように、「初夢」とは、その年の運勢を占うものとして、お正月、二日の夜に見る夢のことをさしますが、現代版では、どんな夢が嬉しいのでしょうか?  それは、何といっても「健康」でしょうね!

LessonPoint

2011年の東日本大震災があった年は、つらく厳しい年でした。
しかし、昔の人はこうした自然災害を乗り切るために、「八百万の神」である万物に祈りを捧げ、つつがなく日々を過ごせるようにと、季節の節目に さまざまな行事を行ってきました。それが、今日に受け継がれている年中行事です。
ハロウィンやクリスマス、バレンタインデーといった西洋のしきたりも、確かにオシャレで楽しいのですが、平安時代から伝わる年中行事の意味を 今一度確かめてみるのも、日本人のアイデンティティが確認できそうです。

自然とともに生きた時代、人々が何に感謝し、何に畏敬の念を抱いて過ごしていたかということについて、震災を経験した今なら、 現代に生きる私たちも実感できるのではないでしょうか。2 012 年は希望に満ちた、よい年であって欲しいと心から願います。

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著者プロフィール

明石 伸子   あかし のぶこ

NPO法人日本マナー・プロトコール協会 理事長   
青山学院大学卒業後、日本航空客室乗務員、会社役員秘書などを経て1996年CS(顧客満足度向上)コンサルタントとして独立。 2003年NPO法人日本マナー・プロトコール協会を設立し、文部科学省後援「マナー・プロトコール検定」の実施を通じてマナーやプロトコールの普及に力を注ぎ、講演、研修などで活躍。 その他、ゆうちょ銀行社外取締役、吉野家ホールディングス社外取締役、NHK経営委員、学習院女子大学非常勤講師など。(2020年4月現在)       
「NPO法人日本マナー・プロトコール協会」

マナーを学びたい方に
協会が実施する通信教育講座「マナー・プロトール検定2級完全合格講座」は、ビジネスマナー、テーブルマナー、冠婚葬祭、季節の贈答、日本のしきたりなど、 日本人として社会人として必須のマナーやプロトコール(※)に関する知識が学べ、さらにこの講座を一定基準以上で修了した方には、文部科学省後援「マナー・プロトコール検定」の 2級が在宅で受験できます。

※プロトコールとは、本来は国家元首間の会談などの公的な国際儀礼のことを指します
「マナー・プロトコール検定完全合格講座」

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