インタビュー
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友納理緒参議院議員 ご活躍を期待しております!友納議員との 一問一答

2022.09.19

友納 理緒さん( 参議院議員 )

第26回参議院議員選挙に看護職の代表として出馬した友納理緒候補は、174335票を獲得し、みごと当選を果たしました。晴れて参議院議員となり、全国の看護職の期待を背負う友納議員に、選挙のこと、これからのことを伺いました。

看護職のためだけではなく、国民皆様のために

選挙戦に入る前は、お話をする対象は仲間である看護職がほとんどでしたので、今ある看護関係の制度をどう変えていくかとか、看護職の働く環境をどう整えていくかとか、看護職の視点に立ち、お話ししておりました。一方で、選挙戦に入って以降は、駅前などで一般の人に向けて話をする機会のほうが多くなりましたので、話す内容は同じでも、表現の仕方は変わっていきました。

例えば、今回の選挙で、私は「看護の明日をつくる。」をスローガンに掲げました。看護職の皆さんに対しては「看護の明日をつくる。」とは、看護職の働く環境の諸条件を整えていくということでした。でも、一般の方に対しては、看護職の働く環境をしっかり整えていくことは、決して看護職のためだけではなく、一般の皆様が安心して医療や看護の提供を受けることにつながるのであり、看護を守ることは、国民の皆様の命と生活を守ることになります、とお話しいたしました。

この視点は、憲法上、全国民の代表とされる国会議員として絶対必要なものだと思いますし、看護についての一般の理解を深めるためにも大切なことでした。それに、改めて気づかされたよい機会でした。

出陣式(6月22日)
個人演説会(6月23日)

秘書の立場と候補者の立場では、やっぱり違いました

選挙戦が始まる前に、小泉進次郎衆議院議員のところへ挨拶に伺った時、小泉先生ご自身、秘書と議員の両方を経験されていらっしゃるので「議員本人と秘書は、まったく違うから」とアドバイスをいただきました。

私も心積もりはしていましたが、思っていた以上に違いました。

秘書の場合は、どちらかと言えば、選挙期間に入るまでが、準備をしたり予定を立てて調整したりと、忙しいのです。でも選挙が始まってしまうと、あとは「先生、頑張って」と候補を後ろから支えるしかありません。

ところが、候補者の立場になると、その「頑張って」と押し出されるほうになるわけです。選挙期間は、心身ともにかなりハードでした。作っていただいたスケジュールどおりに動くのが、時には厳しいなと感じることもありました。もちろん、選挙期間中に各地を回って、直接いろいろな方とお話しすることはとても重要であり、貴重な機会でした。

姫路駅前での街頭演説(7月7日)

各地で皆様とお会いするために、健康には気をつけました

今回は通常より1日多い、18日間という長い選挙期間でした。選挙運動中はアドレナリンが出ているので、その時その時に疲れを感じることはほとんどありませんでしたが、1日が無事に終わった後、家に帰ったりホテルに戻る頃は、もう本当にぐったりしていました。選挙期間中は毎日、それを繰り返していたという感じでしょうか。

やはり、体調を整えることに気をつけていました。各地をめぐり、多くの方々とお話をする機会をもつことが何より大切と思っておりましたので、この予定は全部やりたいという気持ちでおりました。でも、寝る時間は限られているので、体力を維持しないと思い、しっかり食べるようにしていました。人生で初めて、ご飯の大盛りを食べました(笑)。

安倍晋三元総理大臣の銃撃事件はとても辛かった

安倍元総理から激励される(7月7日)

なんと言っても、精神的に一番厳しかった出来事です。選挙戦も終盤に差し掛かり、体力は尽き果て、気力だけで選挙戦を戦っていたような中、あんなに精神的な面で衝撃を受けて落ち込んだことはありません。

安倍元総理には、事件の前日に兵庫県でお目にかかったばかりで、その時「調子いいみたいですね、このまま頑張ってくださいね」と、おっしゃってくださいました。まさか、それが最後になるとは思ってもいませんでした。

根底にどんな事情があったとしても、暴力に訴えることは絶対に許されるものではありません。特に、私は弁護士でもあり、自分たちの言葉を紡ぎ出すことで、自分たちの考えを伝えることが仕事です。言葉で訴え続ける必要があるのだと、自分を奮い立たたせ、翌日の最終日を乗り切りました。とはいえ、なかなか気持ちを取り戻すのは難しかったですね。

当確が出た時は、応援してくださった皆様の顔が思い浮かびました

「当選確実」が出た時は、まずは、看護連盟の会長、役員の方をはじめ、応援してくださった皆さんの顔が思い浮かびました。本当に命を燃やして、力を込めて応援してくださったので。

当選できなかったらどうしようという、マイナスのことは考えないようにしていましたけれど、やはり当確が出た時は、そんな皆さんのことを考えて、ほっとしたっていう感じでしょうか。同時に、これからやらなければいけないことを考え始めました。

参議院議員の特性を活かして取り組んでいきたい

参議院は「良識の府」と言われることもあるように、いろいろな意味で、じっくりと課題に取り組むことができるところです。

衆議院の場合、任期は平均2年半と言われていますけれども、いつ解散があるかわからず、解散があるたびに選挙があって、リセットされます。

一方で、参議院は、解散がなく、6年間の任期を通して課題に取り組むことができます。ご存じのとおり、法律の改正には長い年月がかかりますし、課題を見つけてからそれを解決していくことを考えると、さらに時間がかかります。そういった意味で、看護の問題に取り組む立場にとっては、いろいろなものに振り回されずに、ある程度しっかりと課題に取り組める参議院という環境は、いいのかなと思います。

その反面、衆議院は選挙の度に皆様の声を聞く機会があるわけですが、参議院ではそういったチャンスが6年間ないことになります。ですから、日頃から皆様のところに伺って、現場の声を聞く機会を意識的に作っていくことは、とても重要だと考えています。

また、参議院のほうが、議員の年齢層が高いということがあります。もともと被選挙権の年齢が異なるわけなのですが、衆議院より落ち着いている部分があるように思います。

もちろん法律は衆参両方で成立していくものなので、参議院議員ということを意識しつつも、私自身は看護職としての、また働く母親としての立場を忘れずに、きちんと声を上げていくことが必要だと思っています。

今の私の立場があるのは、皆さんのおかげであることを忘れません

皆さんに応援していただき、この場に立っていることを決して忘れないようにしたいと思います。
日頃から実感していることでもありますし、選挙期間中にも感じたことではありますが、今の私の立場があるのは、本当に皆さんのおかげです。そこへの感謝の気持ちが一番です。そういった皆さんの意見をきちんと聞き、もちろんそのご意見どおりに国政に反映させることがよい場合と、もう少し違った視点から物事を見るべき場合があると思いますが、それぞれしっかり議論をしながら進めていきたいです。自分だけの価値観で物事を進めないということは、重要だと考えています。

マイク納め。安倍元総理の事件後であり、屋内で実施(7月9日)
当確が出て、ダルマに目を入れ、記念撮影(7月11日)

看護の現場のことは看護職しかわからないので、ぜひ現場の声をあげてほしい

やはり、現場からの意見や声を上げていただきたいです。

選挙期間中もその前も、皆さんとよくお話ししていたのですが、医療現場のことって、外部の人はわからないものです。
当然、誰かが慮ってくれるわけではないので、言わないと伝わりません。言えば「ああ、そんなに大変な状況にあるのね」と理解してくださいます。

看護の問題を解決していこうとしても、看護の中だけで議論していては変えることはできません。法律にしても何にしても、変えていこうと思うなら、外部に伝えて、一般の皆様からの支持も受けて変えていくという動きが求められます。

まずは中から声を上げ、それを外部に伝える必要があります。私は今、それをお手伝いできる立場に立ったのだと思います。国会議員という立場で、皆さんが現場から上げてくださる声を、さらに大きな声として伝えることが私の役目です。

最初に現場から声を上げるのは、看護職の皆さんにしかできないことです。ぜひそこのご協力をお願いいたします。

現場で困っているのがどのレベルか、つまり、法律や制度で解決できるものなのか、自分たちで解決できるものなのか、その選別も難しいところかとは思いますが、まずは声を上げていただきたいです。その声の中から、制度や法律で解決できるものをピックアップし、解決に導けるものについては、きちんと取り組んでいきたいと思います。

働きながら子育てするうえで出てくる問題は国政にもつながる

早速の問題として、時間の調整をどうしようかと、いま少し困っています。というのは、沖縄の知事選の応援に行く要請が入っているのですが、その日は夫も出張の予定が入っています。そうすると、朝の子どもの世話はどうしよう、と考えているところです。

忙しい中でも子どもを見ることをおろそかにしないように、と思っています。私自身の目で子どもが成長する過程を見ていきたいのです。きちんと向き合い、言葉にはならない部分も読み取って育てていきたいなと思っていますが、自分の仕事に必死になってくると、どうしてもおろそかになる部分が出てくるだろうな、と思います。そこは、ちょっと不安な点です。

ただ、自分の子どもと向き合っていろいろな課題にぶつかることは、働きながら子育てをする上で何を解決していくべきかという、国政での問題提起にも繋がっていくと思っています。どちらかが重要だから、どちらかだけをやるというより、子どもがいる状態を前提に、子育てにも向き合いながら、この仕事を続けていきたいと考えています。

選証書を受け取る(7月15日)

看護職の皆さんと協力しながら、看護の未来をよい方向に変えていきたい

改めまして、今回の選挙で本当にたくさんのご支援をいただいたことに、感謝申しあげます。新人で知名度もなく、短期間の選挙運動のなかで、これだけの票数を集めていただき、ありがとうございました。私ができることは限られていましたが、連盟の皆さんが周りにも伝えて活動してくださったおかげです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

現在の看護連盟のスローガンは「届けよう看護の声を!私たちの未来へ」ですが、その前は「ベッドサイドから政治を変える!」でした。看護職は160万人ぐらいいて、日本看護協会会員が70万人以上、日本看護連盟会員が20万人ほど。こんなにたくさん人数がいる組織というのはそうそうありません。私たち看護職が一体となって、声を上げていけば、政治って変わるんです。そのことがわかって、スローガンのとおりなんだ、と実感するようになりました。

でも、政治を変えるためには、やはり仲間を増やしていかなければなりません。皆さんご自身が、政治を変える可能性のある組織に所属していると自覚していただくと同時に、周りの方にも「私たちは可能性がある団体だ」と伝えて、仲間を増やしていただきたいと思います。

そして看護の未来を考えながら、よりよい方向に変わるように皆さんと協力し合いながら、しっかりと看護の明日をつくっていきたいですね。

これからがスタートです。改めて皆さんとの関係性を築きながら、一緒に看護界を支えていきたいと思ってます。

(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2022 OCT-2023 JAN)

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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