インタビュー
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特別インタビュー:
令和をきり拓く看護連盟活動大島敏子新会長にこれからの日本看護連盟について聞く

2020.03.26

インタビュー

2019年8月に就任した大島新会長に、日本看護連盟の広報委員がインタビューしました。今後、日本看護連盟はどのような課題に取り組むのか、そのためには、どのような組織づくりが必要なのか、伺いました。

インタビュアー:日本看護連盟広報委員会
濱崎貴則 委員長(愛媛県看護連盟)
三輪百合子 副委員長(長野県看護連盟会長)
小室高春(福島県看護連盟)
森下真哉(岐阜県看護連盟)
嵐悠介(京都府看護連盟)
桑原健次(福岡県看護連盟)

看護の実践力を高め 社会の中で高い評価を得る

濱崎:早速ですが、まず大島新会長が描かれている看護連盟のビジョン、また、それに伴う課題についてお聞かせください。

大島:現場からの声で一番大きいのは「人が足りない」「お給料が安い」です。この課題に取り組むには、どうしても診療報酬に目を向けなければなりません。診療報酬を決める中央社会保険医療協議会(中医協)には20人の委員がいますが、その中に看護職が入っていません。ようやく平成15(2003)年に、専門委員(注)に看護職が入ったのが実態です。
24時間365日、患者さんを看ている看護職が診療報酬に対して、意見を言えない状態で本当によい看護・医療ができるのか。本当に患者さんのニーズに合った医療体制ができるのか。患者さんの声を伝えられる看護職が中医協の21人目のメンバーになることが当面の目標と思っています。そして、この21人目の委員を入れるには、私たち看護職の代表である国会議員が、大きな得票数をバックに発言権を持たなければなりません。難しい課題ですが、私の任期中に少なくとも25万票を取れる団体となり、中医協のメンバーに看護職を入れるのが、私の最大の願いです。それと同時に、看護職が社会の中でより高い評価を受けることが大事だと思っています。このためには、看護職自身が実践能力を高めていくことが重要です。その実践能力 を高めるために、国が支援する体制を作る必要があると思っています。
また、元号が令和と改まりましたから、今まで15年間使ってきた日本看護連盟のスローガンを見直したい。 スローガンができたところから、もっと細かい形での行動指針を作っていきたいと思います。とはいえ、私たちの団体は、何はともあれ選挙で数を出さなければなりません。それができる団体になることが私にとっての最大の目標です。

森下:今後、広報委員会に期待することがありましたら、お聞かせください。

大島:文書を残すことは歴史を積み重ねる、紡ぐことだと思っています。
後で振り返った時に、日本看護連盟に何が起こっていたのかを残していくという点で、広報委員会はとても大きい役割を担っていると思います。現場の意見をいかに吸い上げてくるかに期待しています。部分的ではなく多くの人たちが考えていること、望んでいること、そして会員が期待していることなどを盛り込んでいただきたいと思っています。

現場の声を吸い上げつつ若手が積極的に発信していく

小室:僕は、平成19(2007)年に福島県看護連盟の青年部の立ち上げに関わり、その後広報委員会に移ったという経緯があります。今は若手の政治に対する関心も低く、連盟活動に関わってくれないという課題もあります。そのなかで、会長と身近に話せる機会などがあれば、若手が連盟活動に参加し、選挙にも関わってもらえるのではないかと思っています。僕の場合は、東日本大震災後に、当時日本看護連盟の役員だった大島会長が福島にいらっしゃった時、青年部代表として福島 の状況をお話ししました。その後、熊本県で開催された全国ポリナビに呼んでいただきました。そこでは、小泉進次郎衆議院議員がTPPのお話をされましたが、僕は「農業もそうだが、看護も若手がモチベーションを持ち続けるのが大変なので、看護もぜひ支援してほしい」と発言させていただいたんです。こうした経験をとおして政治活動の面白さ、連盟活動の面白さに気づくことができました。若い人でも、大きな集まりに参加し、発言できる機会を増やせればいいという思いがあります。

濱崎:若者の政治離れという点は、広報委員の中でも課題になっています。会長自身が思う課題解決や、広報委員会に対して期待することがありましたら、伺いたいのですが。

大島:若手の会員自身が、連盟がなぜできたのか、今まで何をやってきたのかを語れないと、人を説得することはできないと思っています。日々の看護で、この患者さんの状態、状況をもっとよくしたいと考えた時、必ず制度や仕組み、法律の問題につき当たると思います。実践能力を高め、患者さん一人ずつの問題をしっかり見て考え、解決していくという現場の力を高めれば、より連盟活動は深まると思っています。

協会と連盟が協力し合って未来のよりよい看護を目指す

桑原:先日、福岡県久留米市の田主 丸中央病院で若手看護師に取材してきました。急性期や地域包括ケアの病棟で勤務する方たちです。高齢者の入院患者が増え てきて、業務が過重となる中、少な いスタッフで大変な思いをされてい ました。このように私たちが現場で 見聞した内容を全国の若手看護師に 伝え、どうすれば改善できるか、ま た政治の場で解決してもらえるか、 みんなで考えたいと思っています。 看護協会との連携も必要です。大島 会長にお聞きしたいのは、看護協会 とどのような関係を築いていくの か、という点です。

大島:取材された田主丸中央病院の 若い人たちの声を、本誌の読者がど う受け止めたのか、さらに発展した コミュニケーションがあってもいい ですね。連盟と協会との関係ですが、 日本看護協会と日本看護連盟とは一 体です。協会が行いたい政策を政治 の中で法案化していくのが連盟の役 割です。その役割を忘れることなく 関係を保ちたいと思っています。た とえば、今私はN u r s i n g nowというバッジをつけていま す。来年、ナイチンゲール生誕 200年を迎え、それに向けもっと 看護の力をアピールするキャンペー ンをイギリス議会が提案しました。 日本看護協会と日本看護連盟はとも にその活動に賛同し、来年5月8・ 9日に国際的なフォーラムを開催す る予定です。また、自民党では看護 問題小委員会を開催していますが、 日本看護連盟が中心となって、日本 看護協会をはじめ、日本助産師会、 男性看護師会、日本精神科看護師会 など、さまざまな看護関係団体が要 望を出しています。先ほどの田主丸 中央病院の過重業務の問題について ですが、日本看護協会ではタスクシ フト、タスクシェアという形で、他 の医療関係職種との役割分担を推進 し、本来看護師がやらなければいけ ない仕事に集中しましょうという動 きをしています。現場の中でも、ぜ ひ知って考えてもらいたいと思って います。

三輪:長野県では、協会が作った連 盟なんだ、ということをお互いに意 識づけしながら一緒にやっておりま す。でも、若い人たちには伝わらな かったりと、課題はいろいろありま す。

大島:日本看護協会の福井トシ子会 長と私は名前も一緒で、ダブル・ト シコと呼んで協力し合っています。 月に1回開催される中央役員会に は、日本看護協会の勝又浜子専務理 事が、日本看護連盟幹事として出席 されていますから、連盟と協会の協 力関係を強固にしていけると思って います。

三輪:各都道府県の協会と連盟との 連携はいかがでしょうか。

大島: 県によっては、看護協会と話 がしづらいなどの問題があると聞い ております。とはいえ、少なくとも 組織のトップに立つということは、 個人的な感情は抜きにして目標に対 してどう動くかということだと思っています。協会と連盟は同じ目標を 持っているはずなので、その目標に 対しての役割を明確にしながら話し 合っていくことが大事だと思ってい ます。

「楽しい」ことを大事に入会促進に向けて

三輪:もう一つ、よろしいでしょう か。都道府県看護連盟では、入会促 進に本当に苦戦しています。どのよ うな対策が必要でしょうか。

大島:きつい言い方になりますが、私は入っていない人に、いかにわ かってもらうかというだけのことだ と思っています。全会員が、一つず つ、一人ずつに伝えれば、会員は増 えると思います。情熱をもって人と 相対することができるか、そういう 会員がどれだけ揃っているかという ことだと思っています。 嵐 若者の政治離れというのは、言 われているほどでもないと僕は思っ ています。若者も国の行方にはもの すごく関心があると思うんです。 ニュースも含め、これから何が変わ るのかといった情報は、若者の方が 簡単に手に入れられる時代です。だ からこそ、単発的な一方通行の働き かけでは意味がないと強く感じてい ます。先ほど、会長がおっしゃった タスクシフト、タスクシェアに関し ても、看護師が他職種に業務を渡す のと同様に、医師や他の職種から看 護師に業務が任されることも考えら れます。そうした問題を若者に受け 入れられやすく、考えてもらえるよ うに発信したいと思っています。
アメリカの大統領選挙で、オ バマ候補陣営の若者たちは、投票時 にカラオケ大会をやったそうです。 カラオケを楽しんで、みんなで投票 に行く。楽しいことに人は集まるん です。だから、楽しい連盟活動を作 り出すことが大事だと思っていま す。仕事はしんどいこともあるけれ ど、みんながいるから頑張れるとい うのが連盟活動だと思います。もう 一つ、みなさんに広げてもらいたい のは、看護学生へのアピールです。 愛媛県の十全看護専門学校では、連 盟クラブをつくってくださいました (N∞アンフィニ2019年夏号 で紹介)。そうした動きが広がれば、 連盟は少しずつ変わっていくのかな と思います。楽しい活動と地道な活 動がバランスよく行われることを望 んでいます。

濱崎:楽しくて、役に立っているこ とが、連盟活動に対するモチベー ションになるのかなと思います。愛 媛県の看護学生が連盟の研修に参加 している姿を見て嬉しく思いました。

大島:看護連盟の活動は、長いスパ ンになります。制度とか仕組みは、 今作っても成果が出るまでに何年も かかります。未来の看護から今の連 盟活動があるのだと認識していただ き、それを周りにもアピールしてく ださい。今後とも広報委員会の活躍 を期待しております。

全員:今日はありがとうございまし た。

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大島 敏子 おおしま・としこ

横浜市立港湾病院入職。国家公務員共済組合連合会・横須賀共済病院で師長に就任。横須賀北部共済病院転勤・看護部長に就任。その間、関東学院大学経済学部経済学科Ⅱ部卒業。2005~2011年 神戸大学医学部附属病院副病院長・看護部長・臨床教授2011~2013年 神戸大学医学部附属病院、非常勤講師・医学研究員2015~2018年 地方独立行政法人広島市立病院機構 看護総合アドバイザー2014年~NPO法人看護職キャリアサポート顧問2015年~フリージア・ナースの会会長就任2019年 豊富町健康支援大使就任2019年 日本看護連盟会長就任【研究分野】2006年4月 文部科学省萌芽研究受託「視覚障害者の点字翻訳ソフト開発」2008年4月 文部科学省基盤研究C受託「点字翻訳の病院サービス活用」

(写真:紀善久)

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