2022.03.30
小松原織香
筑摩書房 定価 1980円
小松原織香さんが哲学の「研究者」となるまでの、そして研究者として今取り組んでいることを記したエッセイ集です。
「当事者」とは、犯罪や暴力や災害・事故の被害者を指しています。
小松原さんが研究者になるきっかけは、性暴力の被害者=当事者となったことでした。付き合っていた男性から、暴力的な行為・暴言を受け、その心の傷から回復するために、苦闘した日々。そして、たどり着いたのが「修復的司法」でした。自分が当事者だから、修復的司法に興味を持ち、研究者となった、と言えるまでの苦しい道のり。
研究者となって、水俣病の被害者と支援者の関係を研究し始めます。被害者の話に耳を傾けても、当事者ではないから心に響かないと小松原さんは思い悩みます。そこから、新たな研究者としての自覚が生まれます。
当事者が口にする「私の何が(あなたに)わかるのか」という言葉は「わかってほしい」の裏返しでもあります。当事者自身が本当のことを語れているのか、と怖れているかもしれません。
当事者の本当のことは、誰にもわかりません。でも、当事者を大切に思う人は、どこかに必ずいます。
(紹介:ブルーにこんがらかって)
2021.05.05
2024.08.09
2022.04.18
2022.04.25
2024.07.12