2020.04.21
渡邉鈴子さんは、富士市立中央病院で看護部長を定年退職したあと、 民間の精神科病院で8年ほど看護部長を務められ、週に2日ほど看護の手伝いをされています。 一方で地域で福祉活動などを担うようになり、高齢者と接する機会も増えてきました。
「富士市で就職して、結婚して、原田・滝川地区で暮らすようになりました。 今までお世話になってきた地域なのに、何も恩返ししていないなと思っていたのです。 この地区で暮らし始めたころは、子どもが多くて賑やかな所でした。 それが今では、高齢者が増え、一人暮らしの家も多くなりました。 そういったことから、この地区の高齢者を元気にするようなことができないかと考えるようになりました」
地域の知り合いに、ゆっくり話したり、笑い合ったりできる場所をつくりたいと話すと、 みんな賛同してくれました。当初は自宅で始めようとも考えていました。 そこに、お向かいの自転車屋さんが高齢のため店舗を閉じることになったので、 その店舗跡を使っていいと申し出てくださいました。
場所が確保できたので、その後は、どんどん話が進みました。
「会場の備品はほとんど寄贈されたもので賄いました。富士市は製紙会社が多いのですが、
製紙会社からパネルをもらって、その上に畳やカーペットを敷きました。
テーブル、椅子、ソファ、カーテン、ストーブなど、すべて地域の皆さんからいただいたものです」
会場は「居場所りんりん」と名づけました。
「私の名前が鈴子だから、りんりんなの?と聞かれることがありますが、違います(笑)
自転車の輪(りん)とみんなの輪(りん)を重ねて〝りんりん〟としました」
〝居場所りんりん〟は、2016年にオープン。毎月第1、第3土曜の13時30分から15時30分に活動しています。 社会福祉協議会から助成金が出ることになり、運営費に充てられています。 毎回16~18名が参加しています。参加者は主に滝川地区の方で、最高齢は96歳の方だそうです。
「ラジオ体操やストレッチをしたり、歌を歌ったり、おしゃべりをして過ごします。
フラダンスもやってます。おしゃべりの中で、みなさんから健康相談を受けることもあります。
おしゃべりして、歌って、体を動かしたりすると、みんな元気になるんですよ。
看護職は、ハコモノのなかだけでなく、もっと地域に出ていってもいいなと思います」
(記事:千葉明彦)
(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2019年春夏号)
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