2021.09.14
福田司 ふくだ・つかさ( 岡山県議会議員 / 日本看護連盟広報委員 )
現在、感染の第5波に見舞われ、医療逼迫が全国で起こっています。
私は令和元年より、岡山県議会議員をさせていただいております。医療が逼迫する中、議員の立場でありますが、軽症者宿泊療養施設での看護業務に入ることとなりました。渦中の軽症者宿泊療養施設の実情をレポートさせていただきます。
みなさんご存知のとおり、新型コロナウイルス感染症軽症者宿泊療養施設は、宿泊療養者の健康状態を定期的に把握し、 適切な健康管理及び療養に関する指導を行い、病状が急変した場合等において適切な措置を講じる役割を担う施設で、各都道府県が自治体の状況に応じてホテルなどを借り上げて開設しています。
全国的に新型コロナウイルス感染拡大の第4波が押し寄せた5月、岡山県にも緊急事態宣言が発令されました。県内の病床使用率は84.5%、重症病床使用率は76.7%、1日の感染者数は180人を超え自宅療養者は800人を超え、国の指標でいうステージ4の状況が続き、東京都、大阪府に次ぐ爆発的な感染拡大地域として連日報道されるレベルでした。
岡山県軽症者宿泊療養施設の使用率は80%を超え、看護師一名が概ね50人以上の療養者を担当する過酷な状況です。
軽症者といえども、COVID-19に罹患した恐怖と不安、持続する発熱や呼吸困難感など想像以上の苦痛からパニックになる、隔離療養に強いストレスを感じ心の葛藤が暴言やクレームとなるケースもあり、対応に苦慮する場面も多く見受けられました。また、高齢患者の入所も多くなり、認知機能への影響が大きく、健康観察や服薬管理をはじめ食事や排泄など直接的な生活援助が必要となるなど、様々な療養生活上の問題が生じました。
防護服を着てレッドゾーンに入り直接対応する回数も増え、連日60件近い入退所の対応にも追われ、看護師の負担は急増していました。渦中の施設では中等症患者も多く、重症化に向かう患者をギリギリまで経過観察し対策本部の入院調整を待つようなケースも増え、逼迫した状況が2週間ほど続きました。オンライン診療や市販薬での対処でフォローアップしますが、SpO2 93%以下で経過する患者も多く、やむを得ず遠隔診療下でステロイド投与に踏み切ることとなりました。酸素投与や補液が必要な状況であるにもかかわらず医療処置が施せない状況は、まさに「命の綱渡り」でした。
命を繋ぐために岡山県では、療養者一時療養待機所を設置しました。医師と看護師の常駐で酸素投与や点滴など応急的な処置を行い、夜間の救急搬送が困難な患者の受け皿として機能しました。急な体制整備でしたので肝心の医療スタッフ確保には困難を極めましたが、短期間の運用で第4波を乗り切ることができました。
岡山県議会6月定例会で私は、議場で現場の状況を伝え、第5波への備えについて政策提言しました。新型コロナウイルス感染症対策は各都道府県が事業主体となるものが多く、政策決定の場で発言できる強み活かし皆様の一助となるよう活動しています。あらためて看護職地方議員の存在意義を噛み締めているところです。
長期化し第5波の厳しい現状に心が折れそうになりますが、感染症収束が見通せる時期が早く来ることを信じて、皆で力を合わせて乗り越えていきましょう。
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