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フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」 上・下

2021.07.15

船橋洋一
文藝春秋 定価 上・下 各2,310円

著者の船橋洋一は、福島第一原発事故にかんする「民間事故調」報告書の指揮・プロデュースを担い、また、この事故に関する要人たちへのインタビューを「カウントダウン・メルトダウン」にまとめ、2012年に上梓した。それから10年。その間にさらに明らかになったデータを加え、構成し直したのが「フクシマ戦記」。
10年前、多くの日本人が固唾を呑んで見守った大事故の裏で、個性豊かな登場人物たちが(もちろん、すべて実在・実名)圧巻の人間ドラマを演じ、読み飽きない。さまざまな偶然が重なり、最悪の事態だけは避けられたが、ここに記されているのがフィクションではなく事実であることに、改めて震撼する。また、常にクローズアップされていたのは当然「第一」だが、その陰で実は「第二」も間一髪の危機的状況にあったとは、さらに恐ろしい。
この大事故でピーク時には周辺住民の47万人が避難し、今もなお3万人近い人が避難生活を送っているという。改めて、危機管理とは何か、重大な局面にあたっての意思決定と組織のあり方について考えさせられる。これは、現在のコロナ禍への対応にも言えるだろう。

(紹介:渡辺 祐次郎)

日本看護連盟のコミュニティサイト アンフィニ
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