2024.03.18
和田 幸一さん( 山口県看護連盟 青年部 )
2023(令和5)年9月20日にテルモ山口株式会社(以下:テルモ山口)の工場見学に山口県看護連盟青年部委員13名と役員3名で参加しました。工場長や中四国ブロックのブロック長をはじめ、たくさんの職員の方に玄関前で出迎えていただき、とても感激しました。
テルモ山口の職員の方に、動画を用いてテルモ株式会社本社の紹介と山口工場の紹介・工場見学・体験実習をさせていただきました。
動画を用いたテルモ株式会社本社および山口工場の紹介では、テルモの会社の歴史・経緯・工場の説明がありました。「山口工場にて製造している製品や安定供給を目的としたBCP」「カテーテル関連製品のコア技術の担保」「災害時でも不足なく製造できる増産対応」「山口工場が現在の場所(山口市佐山)に建設されたこと」について、詳しく説明していただきました。
「視覚的な注意喚起」が重要と感じた工場見学
工場見学では、オートクレーブ滅菌のような熱に弱いバイオ医薬品を無菌エリア内で充填・密封を行うアイソレーターやデバイス組み立て、そしてディスポのシリンジの製造工程を見学させていただきました。医療現場で使用している製品の製造工程を見学したことで、製品が製造されるまでに、多くの工程があることを知りました。
無菌エリア内で充填・密封を必要とする製品の製造工程に携わる際には、無菌エリアに菌を持ち込まないために、薬の持ち込みやメイクの禁止を徹底することで、安全で安心な製品の製造をしているのだと実感しました。
工場内はどこを見ても清潔に整理整頓されており、通路や廊下に不要なものを置かず、作業場所との明確なゾーニング、段差や高低差があるところの段差部分に蛍光テープを貼るなど「視覚的な注意喚起」が行われていました。私たちが看護する上でも、視覚的な注意喚起は安全上重要で、環境整備や業務改善に必要なことであると思いました。
細心の注意をはかっていく必要があると感じた体験実習
体験実習では、抗がん剤に見たてた液体を使った暴露実験(飛散実験)をしました。蛍光剤を使用してミキシングを行い、ブラックライトを当てて、薬剤がどの程度、周辺に飛散しているか確認したところ、思いのほか多くの飛散が見られ、普段行っているミキシングで注意が必要と実感しました。また、手袋に抗がん剤(蛍光剤)が付着した状態のまま他の部分に触れることで曝露を拡大していることを学ぶことができ、それがどれほど危険であるかも体験しました。
体験と合わせて、テルモ作成の動画でも曝露について視聴し、抗がん剤曝露防止の製品の使用体験をすることにより、自分自身と患者さんの安全を守るためにも、日頃の業務で細心の注意をはかっていく必要があると感じました。
体験実習①蛍光剤を使用してミキシング
体験実習②「ケモセーフ」の使用体験
体験実習①薬剤の飛散確認
印象に残った言葉「人の目ほど正確なものはない」
テルモ山口では、企業理念である「安全と安心」「医療を通じて社会に貢献」「高い品質力・技術力を蓄積」を大切にされていることを知りました。テルモ山口工場の職員の皆さんが、患者さんのことを第一に考えて製品を製造されていることと、私たち医療従事者が患者さんを第一に考えて行動していることが「同じである」ことがとても嬉しかったです。
青年部全員がとても印象に残った言葉が「人の目ほど正確なものはない」でした。私たちが働く医療現場でも、医療行為の確認の際には、ダブルチェックを実施しています。安全で安心な看護を提供するために、1人よりも2人の目でチェックするなど、確認の大切さを再確認させていただきました。
「わかりやすく簡潔に伝える」という学び
今回の見学を通じて、何気なく日々の業務の中で使用しているデバイス型シリンジや、ディスポシリンジなどの製品が医療現場に届くまでに、私たちが思っている以上に多くの時間(工程)や職員の方が関わっていることに驚きました。安全面では、品質管理が徹底されており、医療現場において一つひとつの製品をこれまでよりも、さらに大切に使用するように心がけていきたいと思います。
テルモ山口の職員の皆さんは、見学時にとてもわかりやすく簡潔に説明していただき、「わかりやすく簡潔に伝える」ということも学びました。今後、私たち青年部の活動の中でも活かしていき、日常生活や医療現場で心がけていきたいと思いました。
最後に、テルモ山口の職員の皆さまの心温まるおもてなしにはとても感銘を受けました。貴重な体験や充実した時間をつくっていただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。
(掲載:機関誌N∞[アンフィニ]2023NOV-2024 FEB)
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