2021.04.14
椿 美智博 つばき・みちひろ ( 北里大学病院 看護部 / 神奈川県看護連盟青年部 )
私は救急領域で勤務する男性看護師で、三次救急患者の初療、カテーテル治療の介助、ドクターカーなどに従事しています。 私のような病院で働く一般の看護師が政治を身近に感じることはあまりないと思います。この記事では、なぜ私が政治に関心を持つようになったのか、 そして政治を身近に感じたエピソードを伝えたいと思います。
政治へ関心を向けたきっかけ
臨床現場でご活躍されている読者の皆様は、理想とする看護と現実にジレンマを感じることも少なくないと思います。それは看護の提供には個々の 経験やスキル、価値観だけでなく、それを取り巻く環境に影響を受けるためではないでしょうか?
私は入職時から救命救急に携わり、数年間をかけて希望していた三次救急外来を担当することとなりました。救急外来で働き始めた当初、 一番の印象は「救えない命」がこんなにもあるということでした。そのときに私が力を入れたのは、少しでも救命に貢献できるための努力、 そして「救えない命」に直面した家族の支援でした。前者の努力は、目に見えやすいものでしたが、後者は対照的でした。それは、救命を生業とする 救急において、家族の支援にかけることができる時間が限られていたためです。そのとき、はじめて診療報酬や看護配置基準、社会保障制度の重要性を知り、 これらの決定に影響力を得るための政治に関心を持ち始めました。そんなとき、神奈川県看護連盟青年部への誘いがあり、携わらせていただくことと なったことを覚えています。
新型コロナウイルス感染症と組織的支援
新型コロナウイルス感染症は2020年1月16日に国内で初めての感染者が確認されて以降、それにかかわる医療従事者にも多くの影響を及ぼしています。 世界で初めての感染者が発見された中国では、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者の6割が睡眠障害を発症し、不安や抑うつ症状の 有症率が増加させ、特に若年の看護師ではそのリスクは高いと報告されています。本邦における調査でも同様の結果が示され、看護師の メンタルヘルスをはじめとした支援が求められています。
これらの課題解決は個々の取り組みだけでは難しく、組織的な支援が必要になります。神奈川県看護連盟では、感染対策のためのマスクや 消毒薬の支給をはじめ、スタージュエリーなど看護師への支援を申し出ていただいた企業と現場の橋渡しをしました。また、感染第3波の影響により 医療崩壊が現実味となっていた12月頃、限られた時間ではありましたが、オンライン研修会で木村やよい議員とディスカッションさせていただく 機会をいただきました。私は「go to トラベル」について現場で対応する看護師の意見をお伝えし、木村議員には看護出身の政治家として当時の 考えを快くお伝えしていただきました。看護分野では4人の国会議員を擁し、コメディカルの中でもその数は多く、政治に声を届けやすいといえます。 この経験から、私たちの看護をよりよくするための選択肢には、政治という方略があることを皆様と共有できればと思います。
理想の看護を実現するために
私たちが理想とする看護を実現するためには、個々の努力だけではなく環境を整えることが重要になります。それに最も影響力をもつ方法の一つが政治です。 看護出身の国会議員は人数が多く、メッセージを伝えるチャンスがあります。そして、看護連盟という明確な政治的組織も存在しているため、 問い合わせる窓口も明確です。これらをツールとして活用することで、看護は今以上に発展できると思います。ぜひ活用してください。 看護連盟はいつでも皆様の声をお待ちしています。
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