2022.09.17
堀越英美
朝日出版社 定価 1782円
ご先祖様たちは、言葉の天才だったようだ。
桜は「夢見草(ゆめみぐさ)」、ウグイスは「歌詠み鳥(うたよみどり)」、雲がないのに降る雨は「天泣(てんきゅう)」、人知れず声を潜めて泣くことは「忍び音(しのびね)」、朝が次第に明けていく様は「朗ら朗ら(ほがらほがら)」。
震える。こんなフレーズを使っていたなんて。その美的センスはもちろん、目の前の事象から召喚した言葉のロマンティックさ。粋な見立て力。
翠雨(すいう)、六花(りっか)、月映え(つきばえ)、糸遊(いとゆう)、真珠星(しんじゅぼし)、和草(にこぐさ)、さゆらぎ、ゆらら、とことわ、みさみさ。
見ているだけでも口に出しても、みやびだ。エモい。字面やリズムから、優しさや清らかさのようなものが溢れ出ている気がする。この言葉たちと向き合っていると、穏やかな心地にすらなる。
昔の人たちのマインドは、なんてやわらかく奔放なんだろう。古語は心を洗ってくれる。
(紹介:Floating Stories)
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