2022.03.22
カトリーン・マルサル/高橋璃子・訳
河出書房新社 定価 2310円
2008年のリーマンショックの引き金となったサブプライムローンは、高学歴の優秀な人たちが作り上げた、高度な金融理論によるリスクヘッジを施した低所得層向けの住宅ローンでした。でも、返済能力のない人にお金を貸せば焦げ付くことは、小学生でもわかることです。お金の流れしか見ない優秀な人たちには、お金の向こう側にいる人が見えなかったのです。
シャドウワークと呼ばれる、収入を伴わない労働があります。典型的なのは家事労働です。あるいは通勤も。掃除洗濯炊事育児をいくら頑張っても、毎日片道2時間かけて職場に通勤しても、収入にはなりません。どれも、生活や仕事にとって大切な仕事なのに、経済的には評価されません。家事労働やケア労働の多くを担ってきたのは、女性でした。経済理論に女性はいなかったのです。
また、先進国と発展途上国との格差は縮まってきたと言われます。ジニ係数などの指標を見る限りは、そうです。しかし、発展途上国は先進国から有害な産業廃棄物を預かることで収入を得ている場合もあります。格差とは何なのでしょうか?
これまでの経済システム・経済理論の欠陥を、女性の視線で、カトリーン・マルサルは痛快に批判しています。
さて、近代経済学の父、アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?答えは本書をご覧ください。
(紹介:マーガレット・ダグラス)
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