2021.07.07
チョ・ナムジュ 著 矢島暁子 訳
朝日新聞出版 定価 1,760円
韓国は過酷な競争社会といわれる。子どもたちは幼い頃から、上を目指すために塾の掛け持ちなどして
努力を求められ、他人と比較され続ける。さらに、その家父長的な男性社会は、女性に生きづらさを
強いる。著者の「82年生まれ、キム・ジヨン」は、こうした韓国の現状を仔細に述べ、本国だけでなく
日本にも大きなインパクトを与えた。
本書は、4人の女子中学生、ソラン、ダユン、ヘイン、ウンジの関係を描く。平凡な自分を
疎ましく思ったり、孤独を紛らわすために短い恋愛を繰り返したり、いつも家族の夕食を作らされて
いたり、いじめられた経験があったりする彼女たちには、自分の中学時代を思い起こさせるような
近しさがある。4人は学力や生活環境が異なるにもかかわらず、同じ高校へ行こうと約束し、
画策する。
女ともだちという関係は、安心と嫉妬と連帯が入り乱れる、複雑な友情だ。その複雑さと初めて
出会いながら、ハードな環境を自分たちなりに生き抜こうとする彼女たちの姿は、不器用でみずみずしい。
(紹介:大橋礼子)
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